米AMDは2013年6月5日、台湾・台北市で開催中のIT見本市「COMPUTEX TAIPEI 2013」において記者発表会を開催。製品戦略を統括するリサ・スー上級副社長が、5月に発表したタブレット向けSoC(system on a chip)「Temash」(開発コード名)の技術を軸にAMDの事業を拡大する方針を示した。また、Temashが「2013 Best Choice of COMPUTEX TAIPEI」を受賞したことも明らかにした。
AMDはTemashのSoC技術を、SoCの採用先である顧客の持つ知的財産と融合させた半導体に活用する。現時点での成功例として、ソニーの次期家庭用ゲーム機「プレイステーション 4」や、米マイクロソフトの「Xbox One」でAMDのSoC技術が採用されていることを明らかにした。AMDが「APU(Accelerated Processing Unit)」と呼ぶ、CPUとグラフィックスコア(機能)を統合した半導体がAMDの成長を支えるとの見方を示した。
スー氏は、2013年末に出荷を予定している次世代APU「Kaveri」(開発コード名)のテストチップを公開した。Kaveriにはノートパソコン向けとデスクトップパソコン向けの2種類のパッケージがある。
Kaveriは、CPUとグラフィックスコアがより密に連係して演算処理性能を高める「HSA」(Heterogeneous System Architecture)をサポートする初めてのAPUだ。具体的には、KaveriはAMDが「hUMA」(heterogeneous Uniform Memory Access)と呼ぶ、CPUとグラフィックスコアが同じメモリーアドレス空間を利用できるようにする機能を搭載する。現在は、APUであってもCPUとグラフィックスコアが別々のメモリー空間を利用しており、演算時のデータ共有のボトルネックになっている。hUMAをサポートすることで、並列演算処理などにグラフィックスコアを積極的に利用できるようにする。
スー氏は、Kaveriを数カ月以内にサンプル出荷して、hUMAを利用したアプリケーションの開発に役立てられるようにすると説明。Kaveriを搭載したシステムで、カプコンの3Dゲーム「DmC Devil May Cry」を動かして、Kaveriの開発が順調であること、AMDのロードマップも計画通りであることをアピールした。スー氏は、マイクロソフトが開発中の「Windows 8.1」を搭載した台湾エイサーのノートパソコンや、台湾MSIのタブレットなども公開。Windows 8.1世代の製品に、AMDのAPUが採用されていることを明らかにした。