写真●米アマゾン・ウェブ・サービスが東京都内で開催した「AWS Summit Tokyo 2013」
写真●米アマゾン・ウェブ・サービスが東京都内で開催した「AWS Summit Tokyo 2013」
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 米アマゾン・ウェブ・サービスが東京都内で開催するイベント「AWS Summit Tokyo 2013」で2013年6月6日、東京海上日動火災保険や三井物産が「Amazon Web Services(AWS)」の利用を拡大する方針であることを明らかにした。東京海上日動はAWSのセキュリティ体制などが確認できたとして、これまで使ってこなかったAWSの利用を開始する。三井物産は、基幹系システムでのAWSの利用を検討する。

 開催2日目となる6日のAWS Summit Tokyo 2013では、アマゾンデータサービスジャパンの長崎忠雄社長が基調講演を行い、東京海上日動の稲葉茂IT企画部長や、三井物産の前川一郎IT推進部長がゲストスピーカーとして登壇し、AWSの利用方針などを明らかにした(写真)。

 東京海上日動はこれまで、ユーザー企業によるデータセンターへの立ち入り検査ができないサービスは利用できないという方針で、米セールスフォース・ドットコムのサービスなどは使用していた一方で、AWSは使ってこなかった。

 東京海上日動は今回、アマゾン・ウェブ・サービスが「SOC1/SOC2」の外部監査を受けていることや、同社とAWSセキュリティチームとの協業によってセキュリティ体制の確認ができたことなどから、「AWSは金融業でも利用できる」(稲葉IT企画部長)と判断。AWSを東京海上グループ全体の「認定ベンダー」と位置づけ、AWSを活用する方針に改めた。主に、AWSをITインフラとして利用しているSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を利用する予定だ。東京海上日動では今後、社内での「AWS認定エンジニア」の育成なども図る。

 三井物産はこれまでAWSを、独SAP製アプリケーションを利用する上での開発・テスト環境や、海外拠点でのBCP(事業継続計画)環境として利用してきた。これらでの実績が上がってきたことから、「今後はパブリッククラウドを、SAPアプリケーションの本番環境などにも使用することを検討している」(前川IT推進部長)。パブリッククラウドの候補の一つが、AWSという位置づけだ。

 アマゾンデータサービスジャパンの長崎社長は基調講演で、日本国内でのAWSの利用企業が2万社を突破したことを明らかにした。同日の基調講演では、日立製作所 情報・通信システムグループ長である岩田眞二郎副社長や、SAPジャパンの安斎富太郎社長も登壇し、AWSとの提携を強化する方針であることを発表。AWSが基幹系システムに浸透し始めていることを印象づけた。