現行のAtomが採用されているモバイル機器。韓国サムスン電子の主力タブレット「GALAXY Tab」シリーズで採用されたことはインテルにとって非常に大きなトピックであり、それが告げられると、会見場後方から拍手と歓声が上がった
現行のAtomが採用されているモバイル機器。韓国サムスン電子の主力タブレット「GALAXY Tab」シリーズで採用されたことはインテルにとって非常に大きなトピックであり、それが告げられると、会見場後方から拍手と歓声が上がった
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2012年のAtomのプラットフォーム「Clover Trail」や競合製品との比較。比較に使っているのはベンチマークソフトの「TouchXPRT 2013」
2012年のAtomのプラットフォーム「Clover Trail」や競合製品との比較。比較に使っているのはベンチマークソフトの「TouchXPRT 2013」
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3D画像を描画するベンチマークテストによる性能比較。Clover Trailの結果を1としている。Bay Trailは4倍以上のスコアだという
3D画像を描画するベンチマークテストによる性能比較。Clover Trailの結果を1としている。Bay Trailは4倍以上のスコアだという
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インテルはLTEのモジュールも出荷する。15バンドに対応し、消費電力が低いという
インテルはLTEのモジュールも出荷する。15バンドに対応し、消費電力が低いという
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台湾の通信会社と協力し、会場でLTE通信をデモ。画面では実測値として40Mbps以上の値が表示されていた
台湾の通信会社と協力し、会場でLTE通信をデモ。画面では実測値として40Mbps以上の値が表示されていた
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会見に登壇した米インテルモバイル&コミュニケーションズグループのヘルマン・オイルジェネラルマネジャー(左)と、ゲストとしてスピーチした台湾エイスーステック・コンピューターのジェリー・シェン最高経営責任者(CEO、右)
会見に登壇した米インテルモバイル&コミュニケーションズグループのヘルマン・オイルジェネラルマネジャー(左)と、ゲストとしてスピーチした台湾エイスーステック・コンピューターのジェリー・シェン最高経営責任者(CEO、右)
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 米インテルは2013年6月5日、台湾・台北市で開催中の「COMPUTEX TAIPEI 2013」の会場で記者会見を開催。同社の省電力プロセッサーであるAtomの展開や性能について解説した。登壇者は米インテルモバイル&コミュニケーションズグループのヘルマン・オイルジェネラルマネジャー。

 オイル氏はモバイル市場における基本戦略として3つのポイントを挙げた。エントリー(低価格)からパフォーマンス(高性能)までの全ての市場で市場を主導するような製品を出すこと、機器の構成要素となるコンポーネントからソフトウエアまでをそろえてプラットフォームとして提供すること、機器の増加によって対応するソフトウエアやサービスが増え、それらがさらに機器の増加を生むという「エコシステム」を構築することだ。

 インテルの現行のスマートフォン/タブレット向けプラットフォームである「Clover Trail+」(開発コード名)は、前の世代の「Medfield」(同)に比べて2倍の性能があるほか、消費電力が低く、より長時間バッテリーで動かせる。グラフィックス性能も改善している。Clover Trail+を採用した製品として中国で出荷中のスマートフォン「K900」(中国レノボ)を挙げ、インドやインドネシア、フィリピンなどでも販売すると紹介した。

 そのほかにAtomを採用したモバイル機器として台湾エイサーや台湾エイスーステック・コンピューターなどの製品を順番に紹介し、最後に韓国サムスン電子の「GALAXY Tab 3 10.1-inch」に採用されたことを発表した。「GALAXY Tab」シリーズはサムスン電子の主力タブレット製品。GALAXY Tab 3 10.1-inchは、1280×800ドットで10.1型の液晶ディスプレイを搭載し、3GとLTEの通信のほか2.4GHzと5GHzの無線LAN(IEEE 802.11n)、Bluetooth 4.0に対応する。OSはAndroid 4.2だ。オイル氏は「3GとLTEのモジュールもインテル製。全てインテルの技術で構成されている」と強調した。

 オイル氏は次期Atomである「Silvermont」(開発コード名)を使ったプラットフォームの特徴にも言及した。タブレット向けの「Bay Trail」では性能が2倍になり、バッテリー駆動時間は8時間以上、スタンバイモードでは1週間以上維持できる。内蔵グラフィックスは自社で開発した第7世代(Gen 7)のコアを使う。このグラフィックス機能はパソコン向けのCoreシリーズの内蔵機能と同様に、DirectX 11に対応する。グラフィックス性能は3倍以上になるという。米プリンシプルドテクノロジーズのベンチマークソフト「TouchXPRT 2013」を使って、現行品に比べてBay Trailが高い性能を示すことを紹介した。スマートフォン向けプラットフォーム「Merrifield」(開発コード名)は従来に比べて1.5倍の性能向上があり、バッテリー駆動時間も延びる。

 モバイル機器を構成する要素の一つであるLTE(long term evolution)のモジュールについても触れた。インテルの「XMM 7160」は15バンドに対応しており、市場のほかの製品に比べて消費電力が低いという。台湾ファー・イーストワン・テレコミュニケーションズの協力により、会場でLTE通信のベンチマークを実施。実測で40Mbps以上が得られていた。