写真●EMCジャパン代表取締役社長の山野修氏
写真●EMCジャパン代表取締役社長の山野修氏
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 EMCジャパンは2013年6月6日、サーバーからストレージへのアクセスを仮想化し、ストレージの物理構成やプロトコルの制約を回避する管理ソフト「EMC ViPR」を国内で発表した(関連記事:「唯一のSoftware-Defined Storageだ」、米EMCが「ViPR」を発表)。既存のストレージ機器やクラウドストレージといった複数のストレージ資源を単一のリソースプールとして抽象化し、ブロック/ファイル/オブジェクトなど各種のアクセス手段で利用できるようにする。2013年内に、より詳細な製品発表と、製品の出荷を予定する。

 ViPRは、サーバーからストレージへのアクセス方法を外部から管理/制御するというやり方によってストレージ資源を抽象化/仮想化するストレージ管理ソフトである。一般的に見られるゲートウエイ型のストレージ仮想化製品とは異なり、データアクセスの経路には介在しない。ViPRは、専用のエージェントを動作させたサーバーに対して、仮想と物理のマッピング情報(どの物理ストレージにどのような手段でアクセスすればよいのか)を通知する仕組み。

 管理/制御サーバーとして、(1)「ViPR Controller」と(2)「ViPR Data Services」という、機能が異なる二つのソフトを用意する。(1)ViPR Controllerは、複数のストレージを論理的に束ねて仮想化し、ストレージプールを構成する。ストレージ領域を動的にプロビジョニングするためのセルフサービスポータル機能も備える。(2)ViPR Data Servicesは、割り当てたストレージ領域に対して、ブロック(SAN)、ファイル(NAS)、オブジェクト(Amazon S3やOpenStack SwiftのREST API、HDFS APIなど)といった各種手段でアクセスできるようにする。

 EMCジャパンでは、ハイエンドSANストレージのVMAX(関連記事)や、中規模SAN/NAS統合ストレージのVNX、スケールアウト型NASストレージのIsilon(関連記事)、オブジェクトストレージのAtomos(関連記事)など、各種のストレージ機器をラインアップしている。EMC ViPRは、これら複数のストレージ機器群や他社製ストレージ、クラウドストレージなどを混在させて論理的に束ね、多目的に利用できる単一資源として利用できるようにする。

 EMCジャパン代表取締役社長の山野修氏(写真)は、同社のポリシーとして「垂直統合システムは決して目指さない」と断言し、ViPRのように管理/制御ソフトウエアを使って他種多様なストレージを緩やかに束ねるやり方が望まれているとした。「クラウドやモバイルといった新たなプラットフォームの時代には、ユーザーの選択肢を広げるために、水平協業が重要」(山野氏)という。