講演した米クアルコムのスティーブ・モレンコフ社長兼最高執行責任者(COO)
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クアルコムが示したパソコンとスマートフォン/タブレット市場の伸びの違い
クアルコムが示したパソコンとスマートフォン/タブレット市場の伸びの違い
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台湾エイスーステック・コンピューター(ASUS)のジェリー・シェン最高経営責任者(CEO)。Snapdragonを搭載したLTE対応の新型タブレットを投入すると表明した
台湾エイスーステック・コンピューター(ASUS)のジェリー・シェン最高経営責任者(CEO)。Snapdragonを搭載したLTE対応の新型タブレットを投入すると表明した
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Snapdragonを搭載した機器で、Windows RT 8.1の動作を披露した
Snapdragonを搭載した機器で、Windows RT 8.1の動作を披露した
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 米クアルコムは2013年6月5日、台湾・台北市で開催されている「COMPUTEX TAIPEI 2013」のイベントで講演した。登壇者は米クアルコムのスティーブ・モレンコフ社長兼最高執行責任者(COO)。クアルコムの統合チップ「Snapdragon」を搭載した機器で、Windows RT 8.1が動作するデモを披露したほか、講演に参加した台湾エイスーステック・コンピューター(ASUS)が秋にLTE対応のフルHDタブレットを発売することを表明した。

 講演の冒頭でモレンコフ氏は、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器が、従来型のパソコンに比べて急速に拡大していると説明。2012年時点でモバイル機器の出荷量がパソコンの2倍になっており、5年後の2017年には6倍になると予測。利益は、パソコンが2012年から2016年で1割弱の伸びなのに対し、モバイル機器は3割以上伸びるとした。

 こうしたモバイル機器は、性能、通信のつながりやすさ、発熱、バッテリー駆動時間などについて、さまざまな組み合わせで利用者からの要求があり、設計が難しくなっている。クアルコムのチップは元々モバイル機器向けに作っている「モバイルネイティブ」であり、通信技術を含む同社独自の機能ブロックを1チップにして広く使われている。同社のチップを搭載した製品は既に800以上あり、その中には同社が用意しているレファレンスデザインをベースにしたものが多数ある。同社では、規模の大きさが事業展開の上で非常に重要なポイントだと考えているという。

 講演では、Snapdragonを採用した機器を手掛ける台湾エイスーステック・コンピューター(ASUS)のジェリー・シェン最高経営責任者(CEO)もステージに立ち、「クアルコムとの長年の協業の結果」としてASUSの「PadFone Infinity」を紹介した。PadFone Infinityは5型のフルHD液晶を搭載したスマートフォンと、10型フルHD液晶のタブレットを組み合わせて使える機器で、「Snapdragon 600」を搭載、LTEによる通信にも対応している。さらに2013年の第3四半期に、Snapdragonを採用した新しいタブレットを発売することを明らかにした。このタブレットはフルHD液晶を搭載し、LTEによる通信に対応する。

 また講演では、米マイクロソフトが開発中の「Windows RT 8.1」を動作させるデモを行った。Windows RT 8.1は、Windows RTの改良版で、マイクロソフトが2013年後半に提供予定。これまでWindows RTが動作していたプロセッサーに加え、新しいSnapdragon 800でも同様に動作する。デモでは、画面を分割して左側でWebブラウザーを表示しながら右側で映像を再生し、両方がスムーズに動作することを示した。

 クアルコムは、Snapdragonの採用を拡大するためにレファレンスデザインを提供している。レファレンスデザインをベースにした製品が、40社以上から200以上も出ているという。同社は講演の前日に、スマートフォンだけでなくタブレットにもレファレンスデザインを提供することを発表した。レファレンスデザインは7型と10型のディスプレイ、3G通信対応と無線LANのみといったバージョンがある。モレンコフ氏は講演でも、この取り組みを紹介。クアルコムがサポートすることで、世界中でモバイル機器への移行を進めていけるとした。