日本IBMは2013年6月5日、Javaアプリケーション(AP)サーバーソフトの新版「IBM WebSphere Application Server V8.5.5」(WAS V8.5.5)を発表した。6月14日に出荷する。必要な機能だけを選んで利用できる軽量版プロファイルにおいて、選択可能な機能の範囲を拡大した。さらに、分散メモリーキャッシュ製品のライセンスを標準でバンドルした。

 Java言語を使って、Webサーバー/APサーバー/データベース(DB)サーバーで構成する3階層システムを開発/実行できる。大規模システム向け仕様のJava EE/J2EEに準拠しており、Web連携の基本機能(Servlet/JSP)に加え、企業向けのEJB(Enterprise JavaBeans)を扱うことができる。

 特徴として、前版のWAS V8.5.0から、Webアプリケーションの基本機能(Servletの実行など)に的を絞ってソフトウエア構成(プロファイル)を軽量化したサブセット版の「Liberty Profile」を提供している(関連記事:日本IBM、WebSphere新版で50Mバイト以下の軽量版APサーバーを添付)。Liberty Profileではさらに、あらかじめ同社がLiberty Profile向けに定義した軽量Java規格群の中から、必要な規格だけを選んで軽量化できる。WAS V8.5.0のLiberty Profileの場合、すべての機能を選んでも、APサーバーのサイズは50Mバイト以下に収まる。

軽量化プロファイルの機能上限を拡大、EJBも選択可能に

 ただし、従来のLiberty Profileは、Liberty Profileに定義されているJava規格をすべて選択したとしても、EJBを利用できないなど、機能の制約が大きかった。このため、Servlet/JSP機能しか使わないようなユーザーであれば軽量化のメリットを享受できたが、もう少し多くのJava規格を必要とするユーザーはLiberty Profileを使うことができず、Liberty Profileではないフル機能のソフトウエア構成を使わざるを得なかった。

 そこで、新版のWAS V8.5.5では、Liberty Profileにおいて選択可能なJava規格を拡大した。具体的には、Java EE6が標準で定義している軽量化プロファイル「Web Profile」のJava規格群のすべてを、Liberty Profileでカバーできるようにした。例えば、Web ProfileにはEJBが含まれており、これをLiberty Profileから選べるようにした。さらに、Web Profileにも含まれていないJava規格として、メッセージングのJMSなども選べるようにした。APサーバーのサイズは、Web Profileの全機能を選んだ場合で約50Mバイト、それ以外もすべて選ぶと、プラス30Mバイト程度になる。

 今回さらに、Liberty Profile専用のライセンス「Liberty Coreエディション」を用意した。同エディションのライセンス価格は、「Expressエディション」(CPU処理能力の上限を480PVUに制限した最安価エディション)と同一に設定した。Liberty CoreエディションおよびExpressエディションの価格(税込み、以下同)は、1PVU当たり3784円から。なお、PVUとは、ライセンスの単位として同社が使っているCPU処理能力の単位である(POWERプロセッサーの場合、1コア当たり4PVUなど)。

 新版ではまた、別製品として提供している、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)のキャッシュ用途に利用できるキーバリュー型データストア「IBM WebSphere eXtreme Scale」のライセンスをバンドルした。同ソフトウエアを個別に購入すると、価格は1PVU当たり2万2890円となる。