カセット型のハードディスク規格「iVDR」を推進するiVDRコンソーシアムは2013年5月31日、iVDR関連の製品や技術を紹介するイベント「iVDR EXPO 2013」を都内で開催。イベント内のセミナーでは、iVDRコンソーシアム理事長の日置敏昭氏が、iVDRの現状と将来性について解説した。
iVDRは「information versatile disk for removable usage」の略。パソコンだけでなくAV機器などとの接続も想定したリムーバブル・ハードディスクの規格で、ハードディスクをカートリッジに収納して取扱いしやすくしたものだ。
「SAFIA」という著作権保護機能を搭載しており、デジタル映像の記録に適している。iVDRは2002年に策定され、2004年にパソコン向け製品が登場した。2.5型HDDを使用した「iVDR Standard-type」は、2009年11月にISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)が、ISO/IEC 29171規格として承認している。現在、アイ・オー・データ機器、HGST、日立マクセル、フリーコム・テクノロジーズがiVDRのディスクカートリッジを販売している。
日置理事長によれば、iVDRに対応したテレビやレコーダーなどの製品は、現在までに累計800万台販売されているという。また、パッケージメディアとしての利用も広まっており、4時間以上のコンサートをハイビジョン映像で収録したコンテンツなどが販売されている。
日置理事長は、「書き換え型のブルーレイディスク(BD-RE)は現在50GBまで出ているが、そろそろ容量は限界だ。iVDRなら最大1TBあり、今年中に1.5TBまで拡張できる。高画質・音質のコンテンツを圧縮せずに収録可能だ」と大容量化ではiVDRが有利だと主張した。
2014年7月には、3840×2160ドットの高精細映像「4K」のCS放送が始まる。また、音声コンテンツの配信サービスでも、24ビット/192kHzといった大容量の音声データが増えるという予想もある。これらの高品質コンテンツを収録するには、iVDRが適しているという。
日置理事長は、iVDRの今後の展開について、「iVDRを使った『パーソナルアーカイブプレーヤー』が1つのターゲットになる。今年中に実現したい」と述べた。これは、高画質映像の録画・再生や、ダウンロードしたコンテンツの蓄積機能を持ち、端末内で編集・保存・管理もできる機器のこと。さらに、タブレットやスマートフォンとの連携も可能だという。