写真●出動情報を入力する救急隊員
写真●出動情報を入力する救急隊員
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 富士通は2013年5月31日、静岡県駿東地区における広域救急医療情報共有システムを構築し、6月1日から運用を開始すると発表した。地域の救急隊と医療機関が傷病者情報や受け入れ可能状況をリアルタイムに共有することで、救急搬送が遅れる事態などを防ぐ。

 システムの名称は「ESMAT(エスマット:the Eastern Shizuoka emergency medical information MATching system)」。救急隊と医療機関が利用するタブレットと、双方で入力したデータをマッチングするクラウドサービスで構成される。

 救急隊は現場に到着すると、発生場所や傷病者の性別・年齢、呼吸や脈拍、症状、診療科、画像などの情報をタブレットに入力する(写真)。これとは別に医療機関側では、受け入れ可能かどうかなどの情報をタブレットに入力しておく。救急搬送時はこれらの情報をクラウド上でマッチングさせ、救急隊のタブレットには受け入れ可能な医療機関を一覧表示する。

 従来のように、救急隊員が医療機関個別に電話をかけて受け入れ可能かどうかを確認する必要がない。また、医療機関側は傷病者の画像情報などを事前に受け取れるため、救急医療が円滑になることが期待されている。タブレットは静岡県駿東地区4市3町の全救急車29台と、2次救急医療機関を中心とした18カ所の医療機関に配備される。

 システムを富士通と共同開発したのは、静岡県駿東地区の広域救急医療体制構築委員会。参加機関・自治体は以下の通り。医師会(沼津医師会、御殿場市医師会、三島市医師会)、自治体(沼津市、裾野市、清水町、長泉町、三島市、御殿場市、小山町)、消防団体(沼津市、裾野市、清水町、長泉町、三島市、御殿場市、小山町の消防本部)、医療機関(沼津市立病院ほか2次救急医療機関15カ所、沼津夜間救急医療センターほか初期救急医療機関3カ所)。