NVIDIAは2013年5月30日、新グラフィックスチップ「GeForce GTX 770」(以下、GTX 770)を発表した。各ボードメーカーからも製品が登場している。ASUSTeK Computerのオーバークロックモデル「GTX770-DC2OC-2GD5」は、6月1日発売で予想実勢価格は5万7000円前後だ。
GTX 770の主な仕様は表の通り。従来製品の「GeForce GTX 670」(以下、GTX 670)からCUDAコア数を増やし、各種動作周波数も引き上げている。一方、TDPはGTX 670の170Wから230Wに上がった。2013年5月23日に発売した上位製品の「GeForce GTX 780」に比べて、トランジスター数やCUDAコア数は少ない。
GTX 770のレファレンスボードとGTX770-DC2OC-2GD5に加え、GTX 780/GTX 670搭載ボード、AMD製品で競合となる「Radeon HD 7970 GHz Edition」(以下、HD 7970)と、その下位製品の「Radeon HD 7950」(以下、HD 7950)搭載ボードを用意して、性能や消費電力を調べた。
DirectX 11対応の定番ベンチマークテスト「3DMark」(Futuremark)の「Fire Strike」では、標準設定とExtreme設定のいずれもGTX 670に比べて約1.2倍の性能だった。一方、上位製品のGTX 780に対しては、約20%下回った。競合製品のHD 7970に対してはやや下回った。
人気FPSゲーム「バトルフィールド 3」(エレクトロニック・アーツ)をプレーしたときの平均フレームレートでも、GTX 770は同670を約2割上回った。GTX 780との差が14~17%に縮まり、HD 7970を若干上回った。
システム全体の消費電力も測定した。GTX 770はアイドル時が47~56W、負荷時は261~270Wだった。GTX 670と比べて負荷時は46~55Wも上がっている。GTX 670のレファレンスボードは、HD 7970より負荷時で2W低かった。
GTX 770は同670から着実な進化を遂げた一方で、負荷時の消費電力は高まった。競合となるHD 7970に対しては同等以上の性能を備え、消費電力は変わらない。2012年8月に登場したRadeon HD 7970 GHz Editionは、安価な製品だと4万円台前半まで値下がりしているのに対し、GTX 770はまだ割高だ。GTX 780の性能は完全に1クラス上だが、実勢価格は8万円台半ばからと高額だ。