米衛星放送のディッシュ・ネットワークは米国時間の2013年5月29日、米クリアワイヤへの株式買い取り提案を、1株当たり4.40ドルに引き上げると発表した。従来は1株当たり3.30ドルとしていたが(関連記事)、同じく買収を計画する米スプリント・ネクステルに対抗し、スプリント案を29%上回る額で再提示した。株式公開買い付け(TOB)の意向も示しており、最低25%以上の株式を取得したい考え。

 クリアワイヤを巡っては、約50%の株式を保有するスプリントが残りの株式を買い取る方針を示しており、5月21日に買い取り価格を、従来の1株当たり2.97ドルから3.40ドルに約14%上乗せすることを発表したばかり。クリアワイヤの取締役会も5月28日、5月31日の臨時株主総会を控え、株主に対してスプリントの提案に賛同することを改めて呼びかけていた。

 今回、ディッシュが対抗案を出したが、大勢に影響はないとみられる。米コムキャストや米インテルなどクリアワイヤの既存株主の一部はスプリントへの売却に賛同しており、スプリントが最低でも約65%の株式を保有できる見込みは既に立っている。

 一方、本業の衛星放送事業が苦しいディッシュは無線事業の拡大に活路を見いだしており、スプリントやクリアワイヤへの買収提案でなんとしてでも足掛かりをつかみたいと考えている。ただし、買収資金の調達面などに不透明な部分が多いのが実情だ。