写真1●NECソフトの松本氏(右)と日本オラクルのプラバカラン氏(左)
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写真2●日本オフショアビジネス協会の小田氏(右)とBeyondSoft Japanの曹氏(左)
写真2●日本オフショアビジネス協会の小田氏(右)とBeyondSoft Japanの曹氏(左)
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 アジアITビジネス研究会と日本オフショアビジネス協会は2013年5月29日、「オフショア開発に異変/アジア相互補完体制整備が急務」というテーマで、パネルディスカッションを開催した。約20年前からオフショア開発が進んでいるが、人件費の高騰だけでなく最近の急激な円安といった新たな課題に直面。いまやオフショア開発の効果が次第に薄れてきており、オフショア開発自体に疑問の声さえ上がっているという。一方で、地元の中国系ITベンダーも中国で高まる国内需要に対応する必要が出てきている。

 そこでパネルディスカッションでは、新たな課題をどう解決するか、今後はどうすべきかなどを議論した。パネラーとして国内や中国系のITベンダー担当者、インド人技術者が参加し、会場からも多くの質問が上がるなど、活発なやり取りが続いた。

 NECソフトの海外ソリューション事業部グループマネージャー松本恭人氏は、「北京や上海など中国の大都市にあったかつてのオフショア拠点は今はR&Dセンターになっている。その後は地方都市がオフショアの開発拠点になったが、円安などコストの関係で今後はもっと地方に拠点を置くことになるだろう」とオフショア開発の現状を語った(写真1)。

 一方で「中国でも競争が激しく、企業再編のブームが起こっている。200~300人規模のITベンダーは5年以内に存在しなくなるだろう」と話すのは中国系ITベンダーであるBeyondSoft Japan執行役社長の曹陽氏だ。「コストより、生産性や稼働率、上流工程への対応などで勝負している。ある程度の企業規模がないと受注さえできない。中国のITベンダーも自社開発の製品や特殊な技術・ノウハウを持たないと生き残れなくなっている」と現状を分析した(写真2)。

 現在、日本オラクルに所属するインド人技術者のクリシュナン・プラバカラン氏は、人材確保について自らの体験を話した。「バイリンガルのブラジル人やチリ人を最初は通訳として確保したが、ITについて学びはじめ、半年も経つとユーザー企業と自分で交渉できるようになった」というエピソードを披露。人材育成について新たな視点を提示した。