ソフトバンクは2013年5月29日、米スプリント・ネクステルの買収について、対米外国投資委員会(CFIUS:Committee on Foreign Investment in the United States)の審査が完了し、同委員会から米国時間の5月28日に「国家安全保障上の問題はない」との通知を受けたと発表した。

 ソフトバンクは今回の通知により、スプリント買収に向けて大きく前進したと判断している。スプリントを巡っては、米衛星放送のディッシュ・ネットワークが対抗の買収提案を発表(関連記事)し、「ソフトバンクがスプリントを買収すれば、米国の安全保障上、問題がある」とネガティブ・キャンペーンを展開していた。CFIUSが今回、問題ないと判断したことで大きな山を乗り越えたことになる。

 もっとも、国家安全保障面の調査については、米司法省や国土安全保障省、連邦捜査局(FBI)など「チーム・テレコム」による審査も残っている。こちらは警察や治安の観点による審査を含むが、CFIUSの組織には司法省や国土安全保障省、国防総省などが含まれており、(関係機関が一部重複しているので)問題なく通過できると見込む。

 スプリント買収については、5月23日に州レベルの審査(STATE Approvals)を通過済み(関連記事)。残る米連邦通信委員会(FCC)による審査は通常であれば、180日ルールにより、米国時間の5月29日に完了する見通しだが、委員長交代などもあり、読めない状況にある。ソフトバンクは、スプリントが6月12日に予定する臨時株主総会の承認を含め、7月1日までに買収手続きを終えたい考え。

 なお、スプリントはディッシュによる買収提案について、第三者を含めた特別委員会で検討中。ただスプリント取締役会は株主に対し、ソフトバンク案に賛同することを勧めている。