写真1●セミナーの様子
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写真2●アメリカン・エキスプレス・インターナショナルのロバート・サイデル社長
写真2●アメリカン・エキスプレス・インターナショナルのロバート・サイデル社長
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写真3●デュポンの天羽稔会長
写真3●デュポンの天羽稔会長
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 日経情報ストラテジーは2013年5月28日、「『米国の称賛される会社』の優れた手法/風土に学ぶ』」と題したセミナーを都内で開いた(写真1)。アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(アメックス)やデュポンの幹部らが、イノベーションを起こすための手法や企業文化について語った。

 最初にアメックスのロバート・サイデル社長が登壇(写真2)。「カスタマー・エンゲージメント(顧客とのきずな)」を測るKPI(重要業績評価指標)として、アメックスが採用する「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を紹介した。

 NPSを測るには、まず企業や商品・サービスについて「友人や知人に薦めたいと思いますか」という質問を投げ掛け、0~10の11段階で評価してもらう。0~6を選んだ人を「批判者」、7と8を「中立者」、9と10を「推奨者」とし、全体の回答に占める推奨者の割合から批判者の割合を引いた値をNPSと定義する。

 アメックスは、業績を測るスコアカードの1つにNPSを取り入れている。サイデル社長はNPSを社内の共通言語にするために、「リーダーが深く関わることが重要」と強調した。そのために、様々な機会で、社内にその重要性を発信しているという。

 デュポンの天羽会長は「インクルーシブ・イノベーション(包括的技術革新)」を促すために、名古屋に設立した「デュポンジャパンイノベーションセンター(DJIC)」に言及(写真3)。デュポンでは、DJICで顧客の課題を聞き出し、事業部横断で解決できる体制を敷いているという。天羽会長は「イノベーションとは技術から製品を生み、売り上げや利益につなげること」とし、「大事なのはハードではなくソフトだ」と成功の秘訣を語った。

 住友スリーエムの松本日出夫技術本部カスタマーテクニカルセンターセンター長は、総勤務時間の15%は会社から与えられたテーマ以外に使ってもいい「15%カルチャー」など同社の制度を紹介した。住友3Mでは、15%カルチャーが事業部をまたいだ研究や社内外の人脈作りに役立っているという。そのほか特別講演では、NPSを開発した米ベイン・アンド・カンパニーから日本法人の森光威文パートナーが登壇。アメックスなどの活用事例を引き合いに、NPSと業績との連動性の強さを指摘した。