写真●米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ氏
写真●米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ氏
[画像のクリックで拡大表示]

 2013年5月28日、セールスフォース・ドットコムによるプライベートイベント「Salesforce Customer Company Tour 東京」が開催された。

 同イベントの基調講演に登壇した米セールスフォース・ドットコム会長兼CEOのマーク・ベニオフ氏(写真)は、社会や企業が顧客視点中心に大きく変わっていく「カスタマー革命」を語った。同氏はカスタマー革命を、主に技術に基づく「ソーシャル革命」「モバイル革命」「ビッグデータ革命」「コミュニティ革命」「トラスト革命」の上位概念と位置づけており、個々の技術を活用することで顧客と企業との新しい関係が築かれると主張する。

 同氏は、「顧客と連携しながら、チームとして営業を進めるにはどうすればいいか?」など、顧客中心の“カスタマーカンパニー”を実現するための5つの問いを掲げ、それぞれの問いに対してセールスフォースの製品がどのように活用できるかを説明していった。例えば、ソーシャルリスニング・分析プラットフォームであるRadianを活用することで、ソーシャルメディアの膨大なユーザーの声を分析し、ネット上での話題数の見える化と、きっかけになったユーザーの特定が容易にできるといったものだ。

 今回のイベントには、セールスフォースの顧客であるトヨタカローラ徳島、アスクル、オリックス野球クラブの代表らがゲストとして登壇したほか、高級ファッションブランドの英バーバリーからもビデオメッセージが寄せられた。バーバリーでは、RFIDを活用して製品情報をディスプレイに投影するなどして「あたかもWebサイトのようなショッピング体験」を提供する店舗を運営している。同社は、新製品発表の様子をいち早くスマートフォンなどに配信するなどして、「モバイルファースト」を掲げているという。

 また、同イベントには、経済産業省 中小企業庁 事業環境部長の鍛冶克彦氏が登壇した。中小企業庁が推進する中小企業および小規模事業者の支援事業において、セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドサービスが採用されたことを受けての登壇である。

 鍛治氏は、「日本の中小の事業所数が減っている」「開業率が低い」という現在の日本が抱える課題を提示。その課題解消に向け、情報共有や個人事業者コミュニティの確立、関連する補助金のワンストップショッピングのために、2012年度の補正予算を活用し、中小企業の支援サイトを構築することにした。ここにセールスフォースの基盤が導入されたのだ。

 同氏はさらに、今後取り組むべき三つのテーマとして「一般に下請けと言われている企業の中で独自技術を持つところを海外展開させること」「小さいながらも地域コミュニティに根ざした女性経営者の支援」「一般に苦手とされる財務情報の活用」を挙げた。

 中小企業庁では、今回始める支援事業により、2016年までに100万社が参加するネットワークの構築を目指している。