欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)が米Appleのスマートフォン「iPhone」の販売に関して、欧州の競争法に違反した可能性があるとして予備的調査を開始したと、複数の米英メディア(TNWCNET News.comThe VergeReutersなど)が報じた。ECは、Appleの契約が競争を阻害していないか、モバイルキャリアから情報を収集している。

 最初にこれを報じた英Financial Timesによると、ECは現地時間2013年5月24日に、9ページにおよぶ質問状を複数のモバイルキャリアに送付した。昨年、Apple製端末の販売補助金やマーケティングに関する非公式の苦情を受けたためで、本格的調査に入るにはAppleが欧州スマートフォン市場で独占的地位にあるとの確信を得る必要がある。こうした質問状は、競争法違反調査においては通常の手続きであり、回答の内容次第で調査を開始するかどうかを判断する。

 Financial TimesとReutersが入手した質問状には、「Appleとモバイル事業者が、競合スマートフォンメーカーを市場から排除することにつながる販売契約を結んでいることを示唆する情報が、ECに寄せられている」とする記載があるという。

 質問状は、問題の契約によりAppleがモバイルキャリアに一定数量のiPhone購入やマーケティングにでのiPhoneの優遇などを義務づけたか、販売と補助金に関してAppleが常に競合メーカーと同等または有利な条件を受けられることを要求したか、LTEネットワークへの「iPhone 5」導入に対して技術的、契約的制限を設けたか、などを尋ねている。モバイルキャリアの回答提出期限は、6月17日となっている。