渋谷駅前に登場した「Surface Pro」とみられる製品のティザー広告
渋谷駅前に登場した「Surface Pro」とみられる製品のティザー広告
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Surface Proの販売サイト。5月27日時点では「日本未発売」と書かれている
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 日本マイクロソフトは2013年5月27日、同社の独自タブレット「Surface」のティザー広告を都内に掲示し始めた。日本ではまだ販売されていない「Surface Pro」の日本発売を予告するものとみられる。

 Surfaceは、米マイクロソフトが開発、販売するタブレット。ARM系CPUを搭載し「Windows RT」をプリインストールした「Surface RT」と、米インテル製CPUを搭載し「Windows 8 Pro」をプリインストールするSurface Proの2機種がある。いずれも、キーボードとして使える薄型のカバーを装着することで、ノートパソコンのように使える点が特徴だ。

 米国、カナダ、オーストラリア、中国、フランスなどでは2012年10月26日、Windows 8と同時にSurface RTを発売。その後、米国とカナダでは2013年2月9日にSurface Proを発売した。日本では遅れて2013年3月15日、Surface RTのみを発売している。

 先に発売されたSurface RTは、既存のWindows用デスクトップアプリを追加できないなど、パソコンとして使うには制限がある。「Office 2013 RT」が付属するという利点はあるが、あくまで「Windowsと親和性の高いタブレット」として使えるにとどまる。

 一方、Surface Proは、通常のパソコンと同じWindows 8 Proを採用しているので、既存のデスクトップアプリや周辺機器を自由に利用できるなど、パソコンと同様の使い方が可能だ。タッチのみならず、デジタイザーペンによる操作や手書き入力にも対応するなど、ビジネス用タブレットとしても期待されている。

 そのため、Surfaceについては「Surface Proこそが本命」との声もある。米IDCは、2013年第1四半期(1~3月)におけるSurfaceの出荷台数を全世界で合計90万台と計算。その多くはSurface Proだとしている。

 マイクロソフトは2013年4月23日、5~6月にかけて、欧州やアジアの24の国と地域でSurface Proの販売を開始すると発表した。しかし、そこで発表した国と地域のリストには、日本は含まれていない。日本での発売が遅れている理由としては、国内のパソコンメーカーへの配慮があるとの見方が強い。

 パソコンと同じように使えるSurface Proが発売になれば、パソコンやWindows 8を搭載した他社のタブレットの販売に影響が出る可能性がある。パートナーとの関係を考慮すると、大手パソコンメーカーが多数ひしめく日本では特に、マイクロソフトも慎重にならざるを得ないだろう。実際、日本マイクロソフトの樋口泰行社長も、メーカーへの配慮があるのかという問いに対し、「そういう面もある」と答えている。

 だが、ここに来てようやく、Surface Proの国内発売が目前に迫っているようだ。5月27日未明に都内に掲示されたティザー広告は、Surface Proの「P」の文字を書いている途中の絵柄になっている。これがSurface Proを示唆したものであることは、文字を書いているペンからも想像できる。前述の通り、付属のデジタイザーペンで操作や手書きができることが、Surface Proの特徴だ。また日本マイクロソフトは、3月のSurface RT発売前にも、同様のティザー広告を展開した実績がある。

 米マイクロソフトが4月に発表したリストの中に日本が含まれていなかったのは、発売ギリギリまで予告を避けることで、パソコン販売への影響を最小限にとどめるという、国内メーカーへの配慮があったためとみられる。