写真●ドクターシーラボはICONITを使って商品動画を配信し、使い方や適量を説明
写真●ドクターシーラボはICONITを使って商品動画を配信し、使い方や適量を説明
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 メディアシークが無料で提供しているQR/バーコードリーダーのスマートフォンアプリ「ICONIT(アイコニット)」が、2013年5月27日に500万ダウンロードに達した。2013年4月末に自民党がネット選挙向けの動画配信ツールとしてICONITの採用を決めたほか、同時期に英治出版も新刊書籍のプロモーションにICONITの利用を決めている。2013年3月には化粧品会社のドクターシーラボがスマホ利用者向けの商品動画提供手段として使い始めるなど、用途が広がってきた。

 今後、自民党は政党および候補者のポスターやチラシ、名刺などにQRコードを印刷し、ICONITのアプリで読み取ってもらうことで、動画メッセージなどをスマホに配信する。動画でメッセージを語ることを好む候補者の要望にかなったものだという。

 英治出版は書店などで、QRコードが印刷されたしおりを20万枚配布。ICONITで読み込むと、スマホから新刊の試し読みができる。

 一方、ドクターシーラボはQRコードではなく、商品に既に付いているバーコード(JANコード)を活用。ICONITで商品のバーコードを読み取ると、その化粧品の正しい使い方を紹介した動画が流れるようにした。キャンペーンの申し込みなどもできる。

 ドクターシーラボは3年ほど前から、150弱ある商品に対して、商品説明の動画を作成してきた。これにより、「商品の使い方が分からない」「適量が分からない」といった問い合わせを大きく減らしてきた実績がある。

 ただ、動画への導線としていたQRコードはドクターシーラボの会報誌やチラシなどに付けるしかなく、「商品そのものには余白スペースの問題からQRコードを付けられなかった。ICONITはバーコードも読み取れるので、既に用意してある動画への導線を容易に確保できるようになった」と、西井敏恭 マーケティング部eコマースグループ グループ長は話す(関連記事:第4回 女性の美、スピードで支える、Eコマースは商品企画の原点)。

 動画を見た後に商品の購入ページに飛ぶこともできるが、スマホでの購買は必ずしも狙っていないという。「商品は利用者が一番買い求めやすい手段で購入いただければよく、スマホからの購入にはこだわっていない。それよりも、既に商品を手にしているお客様に、正しい使い方や適量を動画で分かりやすくお伝えすることで客離れを防ぎたい」と、西井グループ長は語る。

 そのためには、今なら自社でスマホアプリを開発して配布するといった方法も考えられたが、「自由度は高い分、自社でアプリを更新・管理していくことになり、負担が大きい。配布にも労力がかかる。それよりは、ネット選挙など多様な用途でICONITが広がっていってくれた方が、自社で広げるよりも効果的だと判断した」(西井グループ長)。

 実際、ICONITは2013年4月初めに400万ダウンロードを超えたが、5月末までの約2カ月でさらに100万件増えて、500万ダウンロードに達した。ネット選挙に出版、そして化粧品と、全く異なる目的で同じQR/バーコードリーダーのアプリが広がれば、いずれの企業・団体にもメリットが広がるというわけだ。