米Sprint Nextelとソフトバンクは現地時間2013年5月23日、ソフトバンクによるSprint買収に必要な米州当局のすべての認可を得たと発表した。同日朝にカリフォルニア州公益事業委員会が同買収計画を承認したことで、23州およびコロンビア特別区の認可がすべて揃った。

 両社によると、カリフォルニア州公益事業委員会は同計画が「競争の活性化をもたらし、ひいては消費者および電気通信マーケットプレイスが恩恵を受けることになる」と判断したという。

 米連邦通信委員会(FCC)をはじめとする連邦当局は現在、同買収計画を審査している。両社は引き続きこれら連邦当局に協力し、7月1日の手続き完了を目指すとしている。

 同買収計画については、米政府は国家安全保障上の懸念を示している。中国製通信機器に不信感を抱く米政府はソフトバンクとSprintに対し、中核ネットワーク向けに機器を購入する際には政府に通知することなどを要請したと、3月に報じられた。米下院諜報委員会は昨年、中国通信機器大手Huawei Technologies(華為技術)とZTE(中興通訊)の製品が米国の安全保障を脅かすと結論づけ、米国の通信事業者に2社との取引を行わないよう勧告している(関連記事:ソフトバンクのSprint買収計画、米政府が中国牽制を要請---米メディアの報道)。

 米Wall Street Journalは、ソフトバンクがこうした懸念に対応するために、Sprintで安全保障問題を担当する取締役を承認する権限を米政府が持つことに同意したと、5月22日に報じている。

 対抗のSprint買収案を提示している米DISH Networkは、ソフトバンクがSprint買収に伴って導入済みの中国製機器を排除するとなるとさらに10億ドルのコストがかかると見られていることなどに言及。依然として安全保障上のリスクは大きいとして、自社提案の方が優れていると主張している。

[発表資料(Sprintとソフトバンクのプレスリリース]
[発表資料(DISHのプレスリリース)]