写真1●PeopleSoft 9.2のトップ画面
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写真2●PeopleSoft 9.2のスマートフォン向け画面(人材検索機能)
写真2●PeopleSoft 9.2のスマートフォン向け画面(人材検索機能)
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 日本オラクルは2013年5月23日、ERP(統合基幹業務システム)パッケージ「PeopleSoft」の新版「9.2」の提供を始めた。2~3年に1回実施するメジャーバージョンアップとなる。

 会計、人事、SCM(サプライチェーンマネジメント)といった各モジュールで合計1000以上の業務処理関連の機能を強化したほか、社員の実行する業務に応じて必要な機能を一画面にまとめられる「ワークセンター」機能を用意。スマートフォンやタブレットから利用できるHTML5で開発した画面を用意するなど使い勝手の向上も図った(写真1)。

 業務処理関連の機能強化では、PeopleSoftに蓄積したデータを分析するための機能「ピポットグリッド」を新たに追加した。「これまでERPのデータを活用する際にはデータを取り出して、BI(ビジネスインテリジェンス)ソフトで分析するといった作業をしていた。ピポットグリッドを利用すると、こうした手間がいらなくなる」と日本オラクルCRM/HCM事業本部ソリューション部の浅井三雄HCMグループディレクターは説明する。

 入力など簡単な業務でERPを利用する一般社員向けには、ERPに蓄積したデータを消費者向けの検索エンジンと同様に検索できる「グローバル検索」機能を提供する。これまでERPのデータ検索はプルダウン型のメニューを採用しているケースが多く、検索に時間がかかるほか、自分が既に知っている情報の検索が中心だった。グローバル検索を利用すると、単語を入力するだけで関連情報が表示できるため、「必要な情報の入手をスピードアップできる」と浅井ディレクターは説明する。

 システム部門向けには運用負荷を軽減するための機能「アップデートマネージャ」を提供する。必要なパッチがあると、そのパッチを適用する前提条件となるパッチを自動的に選び適用する機能だ。アップデートマネージャを利用することで、パッチの適用を最小限に抑えられる。PeopleSoftではパッチをある程度まとまった形で提供している。これまで必要なパッチがある場合、そのパッチが含まれる全てのパッチを適用する必要があった。

 新版ではスマートフォンやタブレットから利用できる画面も用意した。HTML5で画面を開発することで、パソコンやスマートフォン、タブレットなど、複数の端末からアクセスした場合でも最適な画面を表示できるようにした。人事モジュールの場合は名簿や人材検索機能を、SCMモジュールの場合は購買機能などをHTML5の画面として提供している(写真2)。

 価格は人事モジュール「Human Capital Management 9.2」の場合、社員200人の企業で約400万円から(ライセンス費用のみ)。自動で9.2にバージョンアップする場合は、「PeopleSoft 9.0」以上のバージョンを利用している必要がある。