米IDCが現地時間2013年5月22日に公表した半導体市場に関する調査によると、2012年の業界全体の売上高は2950億ドルとなり、前年から2.2%減少した。年後半に、パソコン、携帯電話、デジタルテレビといった分野で消費者支出が低調だったことに加え、工業製品などほかの市場分野も振るわなかった。

 IDCによると、欧州の経済危機、中国市場の成長鈍化が世界市場全体の需要に影響を及ぼした。またWindows 8はパソコン市場回復の起爆剤にならなかった。そうした中、競争力のある中国のメーカーが平均販売価格に下落圧力をかけ、市場全体の売上高の伸びを低下させた。

 IDCは約120社の企業を調査対象としているが、上位10社中8社の売上高が減少するなど、半導体企業の大半が前年比で減収となった。売上高が10億ドル以上ある企業のうち、売上高の伸び率が5%を超えたのは17社のみ。上位25社中売上高が増加したのは米Qualcomm、米Broadcom、オランダNXP Semiconductors、米NVIDIAなどの7社だけだった。

 2012年に売上高が最も多かったのは米Intelで、韓国Samsung Electronics、Qualcomm、米Texas instruments、東芝が続いた。このうちIntelの年間売上高は前年比3%減の500億ドル。パソコンの需要が低迷していることに加え、スマートフォンやタブレット市場で苦戦していることが主な要因とIDCは分析している。Samsungの売上高は前年比6%減。デジタルテレビの需要低迷、米Appleへの供給量の減少、メモリー価格の変動などが原因という。

 一方Qualcommの売上高は前年比34%増の132億ドル。アプリケーションプロセッサ「Snapdragon」がスマートフォンで広く採用されたことが寄与した。

 IDCによると、上位10社が市場全体の52%を占め、合計売上高は約1500億ドル。また上位25社の合計売上高は2060億ドルで、いずれも前年に比べ3%減少した。なおIDCは2013年の世界市場全体の売上高について、前年比で3.5%増加すると予測している。

[発表資料]