米AppleのTim Cook最高経営責任者(CEO)は現地時間2013年5月21日、税務処理に関する米上院の公聴会で証言した。同氏はAppleが課税回避を行っていないとし、同社が米国経済に貢献していると強調した。

 現在、Appleの米国外による売上高は、米国売上高の2倍にのぼる。Cook氏は、「Appleは今でも自身を米国企業だと考えるかとたびたび問われるが、答えは断固として“イエス”だ。われわれは米国企業であることに誇りを持ち、同様に米国経済に貢献していることを誇りに思う」と述べた。

 同氏によると、過去10年の雇用は米国全体で停滞しているが、Appleの米国従業員は5倍に拡大し、現在米国50州で5万人を雇用している。Appleだけでなく、提携ベンダーなど関連企業も含めると「米国内で60万人の雇用機会を創造している」と主張。

 また2012年は米国で60億ドル近い税金を支払っており、2013年はさらに多額の税金を支払う見通しだと述べた。

 Cook氏はAppleが「支払う義務がある税金は1ドルも欠けることなく支払っている」「法律に準じているだけでなく、法の精神に則っている」とし、「税金逃れのごまかしの手口は使っていない」「米国での課税を逃れるために、知的財産を海外に移して、米国で販売する製品に使用するようなことはしていない」「カリブ海諸島に資金を隠したりしていない」と明言した。

 さらに同氏は、米国の税法では海外で得た利益を米国に移動すると高額の税金が課される点を指摘。同様の制約を持たない外国企業との競争において障害になっているとの見解を示した。

 公聴会にはAppleのPeter Oppenheimer最高財務責任者(CFO)も出席し、同社のグローバル事業と財務の構造および管理について説明。「他のすべての多国籍企業と同様、当社は事業を展開する地域の法規に従わなくてはならない。そのためときには、地域内だけでなく、製品を販売したい特定の国に子会社を置かなければならない」と述べた。

 今回の公聴会は、米企業の税金対策を調査している上院常設調査小委員会が主催したもの。同委員会は、Appleが税法の抜け穴を利用し、海外拠点を設置して利益の大部分を米国外に移転し、巨額の米国法人税をごまかした疑いがあるとしている(米Forbesの報道)。

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[発表資料(2]