写真●5月19日に東大で行われたシンポジウム「未来を創る大学発ベンチャー」
写真●5月19日に東大で行われたシンポジウム「未来を創る大学発ベンチャー」
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 2013年5月19日、東京大学の五月祭で「未来を創る大学発ベンチャー」と題するシンポジウム(主催:東京大学新聞社)が開催された。

 シンポジウム前半は、リブセンスの村上太一氏、モルフォの平賀督基氏、ユーグレナの出雲充氏という、学生時代に起業し上場を果たした3氏によるパネルディスカッションが行われた。リブセンスは、成功報酬型のアルバイト求人サイト「ジョブセンス」などを提供、「未来の当たり前を発明する」をスローガンに新サービスを開拓している。村上氏は、史上最年少の上場企業経営者としても知られている。モルフォは、多くの画像処理技術を開発し、スマートフォンや画像共有サービス企業などに提供している。ユーグレナは、世界で初めてミドリムシの大量培養・製品化に成功し、食料やバイオ燃料などへの応用を図っている。

 3氏は、質問に答える形で、創業の背景や社長としての苦労とその克服法、事業化のコツなどを解説した。例えば、課題克服に関しては「師匠に迷惑をかけないようにと考えた」(平賀氏)「事業をやりたいと思った原点の気持ちを考えて言葉にした」(村上氏)「信念だけ。周囲のサポートにも恵まれた」(平賀氏)など、実体験を交えて紹介した。

 後半は、現役起業家による製品紹介とそれに対する先輩起業家によるアドバイスセッション。登壇したのは、Gunosy(グノシー)の福島良典氏、Pluto(プルート)の金田賢哉氏、3idea(トライデア)の西岡賢一郎氏の3氏である。グノシーは、ソーシャルグラフと簡単なQ&Aを基に、そのユーザーが関心を持つと推測されるニュースを定期的に送ってくれるサービスを提供する。福島氏は、アクティブユーザー率がとても高いことや今後のユーザー数の増加見込みなどを紹介した。

 Plutoが提供するのは、自宅の家電を外出先からスマートフォン経由で制御できる赤外線リモコン。金田氏は、自分が欲しいものを作ったという開発背景と、高齢者向けサービスの充実など生活を豊かにしたいという今後のビジョンを語った。

 トライデアが提供するのは、ユーザーが製作に参加できる教科書プラットフォーム「OpenBook」。西岡氏は、OpenBookが知識の蓄積と再利用を進めるものだとした。先輩経営者からは、「一般の人ではなく、コンテンツを持っている人をパートナーとして引き込んだ方がいいのではないか」といった意見が寄せられた。

 シンポジウムの終盤には、上場した企業トップの3氏と来場者の質疑応答が行われた。会場には、新しい事業を興すことに興味がある学生が相当数参加しており、「目標としたい経営者は誰か?」「10年後のビジョンは?」など、たくさんの質問が寄せられた。

■変更履歴
開催日は、掲載当初5月13日としておりましたが、5月19日の誤りです。お詫びして訂正します。また、シンポジウムの主催者情報を追記しました。本文は修正済みです。[2013/05/20 17:05]