岩手県花巻市は、市役所内部でパソコンソフトの無断複製(違法コピー)が行われていたことを明らかにした。2013年5月15日に大石満雄市長らが臨時記者会見を開いて発表、謝罪した。花巻市は著作権侵害を主張しているソフトウエア開発会社9社と和解する方針で、賠償金として標準小売額の1.5倍に相当する約2200万円を支払う。

 花巻市の説明によれば、ソフトウエア開発会社側から2010年5月に無断複製の疑いに関する指摘を受けた。調査したパソコン1487台のうち、395件の無断複製ソフトウエアが確認されたという。内訳はジャストシステム「一太郎、ATOK、花子など」168件、マイクロソフト「Office」132件、アドビシステムズ「Acrobat」58件などである。

 賠償金のうち、ソフトの標準小売額相当分は、本来支払うべき経費として公費負担する。割増分の735万5000円については、職員から「協力金」を募ってまかなう方針。協力金は職域ごとに5000円から10万円程度を想定しており、既に退職している職員にも協力を依頼するという。

 花巻市は同時に発表した職員の逮捕事案と併せ、責任を明確にするため、市議会での条例制定後に、大石市長は4カ月間給与30%カット、副市長は同15%カットなどの処分を科す。

 再発防止策として、2012年3月から導入しているシンクライアント環境での業務実行を今後さらに徹底する。シンクライアント環境で利用できない特殊なソフトについては、企画調整課でライセンス証書やインストール媒体を一括管理するとした。

 花巻市は岩手県のほぼ中央にある人口約10万1000人の都市で、花巻空港や東北新幹線新花巻駅などがある交通の要衝。作家・宮沢賢治の生まれ故郷としても知られる。