写真1●KDDI,三井物産、大日本印刷、東急モールズデベロップメント、イッツ・コミュニケーションズが開始したO2Oの実証実験の様子
写真1●KDDI,三井物産、大日本印刷、東急モールズデベロップメント、イッツ・コミュニケーションズが開始したO2Oの実証実験の様子
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写真2●今回の実証実験における各社の役割分担
写真2●今回の実証実験における各社の役割分担
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 KDDI,三井物産、大日本印刷、東急モールズデベロップメント(東急MD)、イッツ・コミュニケーションズの5社は2013年5月13日、東急MDが東急田園都市線の南町田駅前に展開するショッピングセンター「グランベリーモール」にて、O2O(Online to Ofline)の実証実験を開始すると発表した(写真1)。モール内の約100店舗のうち、約60店舗が参加する。実証実験の期間は同日から2013年6月27日まで。

 実証実験では東京ドームの約1.8倍の敷地面積を持つグランベリーモール内に、22個の無線LANアクセスポイントを設置。スマートフォン(スマホ)に専用のアプリをダウンロードしたユーザーがモールに来店することで、店舗がアプリ向けに投稿したオススメ商品の写真をアプリで確認したり、無線LANのエリア内に入るとプッシュ配信されるクーポンを使って、実際に店舗内で商品を購入したりできる。

 スマホ用のアプリケーションとして、商品情報を表示する「すなっぴん」、クーポンがプッシュ配信される「くーぴん」という2種類を用意した。いずれもiOS向けとAndroid向けが用意されており、AppStoreやGoogle Playから無料で入手できる。これらのアプリは、KDDIの端末だけでなく、キャリアフリーで利用できる。なお無線LANインフラはユーザーの測位のために使い、実際にネットワークにつながせることは今回はないという。

 今回の実証実験に参加する目的として、東急MDグランベリーモールマネージメントオフィスの佐藤和弘総支配人は「アウトレット店舗の魅力低下や紙媒体広告効果の減退、周辺人口の高齢化など、グランベリーモールを取り巻く環境が大きく変化し、新たな販促媒体の検証が必要になってきた」と語る。

 参画企業の役割分担は、三井物産とイッツ・コミュニケーションズが無線LANによるユーザーの測位インフラの整備と、ユーザーデータの収集・蓄積・分析を担当、KDDIが商品情報アプリである「すなっぴん」、大日本印刷がクーポンのプッシュ配信アプリである「くーぴん」を担当する(写真2)。実はすなっぴん側でもクーポンの取得が可能だが、二つのアプリに分けることで、プル型かプッシュ型のどちらが効果が高いのかを検証する狙いもあるという。

 今回の実証実験を通して、店舗の販促ツールとしてどのように情報を配信したらユーザーに響くのか、購買行動に至るのか――といった点などを確認する。

 O2Oの取り組みは、通信事業者にとどまらずインターネット系のプレーヤーでも活発化している。携帯電話事業者では、ソフトバンクグループがイオンと協業を開始(関連記事)したほか、NTTドコモも渋谷で音波を使って測位をするO2O実験を始めている(関連記事)。

KDDIからのリリース