図●愛知メディカルBCPネットワークの概要
図●愛知メディカルBCPネットワークの概要
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 富士通は5月13日、名古屋医療圏の中核6病院と共同で被災時の診療を継続するための診療情報バックアップシステムを構築し、「愛知メディカルBCPネットワーク」として本格運用を開始したと発表した。

 愛知メディカルBCPネットワークは、プライベートクラウド型の医療機関向け災害対策ソリューション「HumanBridge (ヒューマンブリッジ)BCPソリューション」をベースに構築した()。構築に参加した6病院は、各病院の全電子カルテデータ、患者属性、病歴、処方情報、検査結果などの診療情報を、SS-MIX(Standardized Structured Medical record Information eXchange、厚生労働省の電子的診療データ交換推進事業)に準拠した形式で、東日本地区の富士通のデータセンター内のバックアップシステムと各病院内のバックアップ用PCに、ほぼリアルタイムに保全する。

 参加6病院のいずれかの電子カルテシステムが被災した場合、他の参加病院や避難所からバックアップシステム上の診療情報を参照し、診療活動を開始できる。ネットワークの不通などでバックアップシステムへ接続できない場合は、バックアップ用PCのデータを元に診療を継続する。メモ機能を使って、被災現場での診療記録を残すことも可能。病院のICT基盤復旧後に、記録した災害時の診療メモを、各病院の電子カルテシステムで災害時記録として保管できる。

 愛知県は、大規模な地震が発生する確率が高いと推測されている地域にある。富士通は、今後参加した6病院とともに、より多くの他の医療機関の参加を募り、システムの機能向上を図っていくとしている。参加している医療機関は、名古屋大学医学部附属病院、国立病院機構 名古屋医療センター、国立長寿医療研究センター、 国立病院機構 東名古屋病院、名古屋第二赤十字病院、名古屋掖済会病院。構築には、厚生労働省の平成24年度地域診療情報連携推進費補助金を活用した。