写真●NTT持株会社の鵜浦博夫社長
写真●NTT持株会社の鵜浦博夫社長
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 NTT持株会社は2013年5月10日、2012年度(2013年3月期)の連結決算を発表した。売上高は10兆7007億円で前年度比1934億円(1.8%)の増収。営業利益は1兆2020億円で同210億円(1.7%)の減益となった。増収は3期連続、減益は4期ぶりである。

 増収要因は移動通信事業の端末販売の拡大と、海外セグメントの成長などである。一方、移動通信端末の購入サポートにかかる営業費用の増加などが利益を圧迫したが、販売コストのコントロール、長距離・国際通信セグメントおよびひかりTVなどのコンテンツ・アプリケーション事業の貢献で押しとどめ、2012年秋に下方修正した利益目標を達成した。

 一方、2013年度(2014年3月期)の業績見通しでは、営業収益は前年度比2993億円増収の11兆円、営業利益は前年度比280億円増益の1兆2300億円とし、増収増益の計画とする。NTT持株会社の鵜浦博夫社長は「昨年秋に公表した中期経営戦略の目標に向けて着実にスタートを切った。今年度は回復から成長を目指すファーストステップの年にする」と述べた(写真)。

海外事業で2500億円の増収見込む

 営業収益で11兆円台を達成できれば10年ぶりのこととなる。達成に向けては、各グループ会社の海外事業の伸びで約2500億円、NTTドコモの端末販売の拡大など国内事業で500億円の伸びを見込む。

 中期経営戦略の進捗については、グローバル・クラウドサービスの拡大で、海外売上高を10億ドル増収の130億ドルとし、企業向けの売上高の海外比率を37%に引き上げる。国内ではネットワークサービスの競争力強化に向けて、アクセス系のコストを2012年度に比べて2050億円削減するとした。

 また、北米で進めているグローバル・クラウド事業の統一ブランドについて、「NTT Cloudsというブランドを来週から周知していく」(鵜浦社長)との計画を明らかにした。「NTTグループにはクラウド移行のバリューチェーンを、様々なレイヤーで一括して提供できる数少ないプレーヤーである。そうした思いで、クラウドの複数形をグループのブランドとして活用する」(鵜浦社長)とし、海外事業の成長への期待を示した。

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