アセンテックは2013年5月10日、フラッシュメモリーとストレージ仮想化ソフトを組み合わせたプライマリー(1次)用途のFC-SANストレージ「I/O Monster」を発表、同日提供を開始した。I/O性能と可用性を確保しつつ、省スペース化や低価格化を図っているのが特徴。同社が販売する既存製品を組み合わせたキット製品であり、動作検証済みの構成で導入できるほか、個々の製品を個別に買うよりも安価になるとしている。

 日本IBMのPCサーバー「IBM System x」に、米Fusion-ioのPCI Express接続型フラッシュストレージ「ioDrive」(OEM供給先であるIBMによる名称は「IBM High IOPS」)を搭載し、データコア・ソフトウェアのストレージ仮想化ソフト「SANsymphony-V」を稼働させた。高さ4Uというコンパクトな容積に、フラッシュメモリーによるI/O性能と、PCサーバー2台構成による可用性を確保した。

 構成要素となるioDriveは、PCサーバー機のPCI Expressバスに直結して使う高速なローカルストレージである(関連記事:TED、価格を3割下げたPCIe直結の半導体ストレージを出荷)。一方、SANsymphony-Vは、PCサーバーを多機能SANストレージとして利用できるようにするソフトである(関連記事:データコアがストレージ仮想化ソフトに新版、システム構成を柔軟化)。これらを組み合わせることで、高速なフラッシュベースのストレージを、多機能なSANストレージとして利用できるようになる。

 SANsymphony-Vの主な機能はこうだ。PCサーバーからローデバイスとして利用できる任意のディスク群をまとめてリソースプール化し、このうえで任意の仮想ボリューム(vDisk)を運用できる。この上で、シンプロビジョニング(ボリューム容量の仮想化)、複数ノードを用いたHA(データ同期ミラーリングとフェールオーバー)、動的なILM(階層型ストレージ管理)、など各種の機能を利用できる。

 システム構成は、標準的な構成をあらかじめ用意しているほか、ユーザーの要望に応じて細かく変更できる。標準構成となる容量5Tバイト(フラッシュメモリー2.4Tバイト、SAS接続型ハードディスク2.7Tバイト)の市場参考価格は、3年保守込みで1500万円(税別)。

I/O Monsterの標準構成時のスペック
PCサーバーIBM System x3650 M4×2台
フラッシュメモリー(1台当たり)2.4TB IBM High IOPS MLC Duoアダプター×1
ハードディスク(1台当たり)900Gバイト、毎分1万回転、SAS HDD×6
146Gバイト、毎分1万5000回転、SAS HDD×2
HBA(1台当たり)QLogic 8Gビット/秒FC(FibreChannel)×2
OSWindows Server 2008 R2
ストレージ仮想化ソフトSANsymphony-V×2
1Tバイト分の容量ライセンス×6