写真1●2013年3月期連結決算を発表する三田聖二社長
写真1●2013年3月期連結決算を発表する三田聖二社長
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写真2●SIM製品の出荷数の推移(四半期ベース)
写真2●SIM製品の出荷数の推移(四半期ベース)
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写真3●SIM製品の売上高の内訳
写真3●SIM製品の売上高の内訳
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 日本通信が2013年5月9日に発表した2013年3月期連結決算は、売上高が前年度比5.8%増の39億4000万円、営業利益が同15.2%増の3億5800万円の増収増益だった。5月10日に決算説明会を開いた日本通信の三田聖二社長(写真1)は、「MVNO(仮想移動体通信事業者)産業の育成という観点ではまだ課題を残すが、事業モデルは着実に浸透してきている」として、今後の継続的な成長に自信を示した。

 同社はこれまでイオンやヨドバシカメラ、アマゾン ジャパンなどと組み、月額課金型のSIM製品を相次ぎ投入。最近は競合も増えたが、結果としてSIM製品自体の認知度も向上しており、売り上げが堅調に伸びた。年度末の特殊要因はあるものの、SIM製品の出荷数は2013年1~3月期に6万9471個に増え、2013年3月末時点のSIMのアクティブ数は26万件を突破した(写真2)。

 月額課金型のSIM製品が伸びる一方で、通信利用権を“電池”のようにプリペイド型で販売する製品も法人で根強い需要がある。2013年3月期のSIM製品の売上高28億9800万円のうち、月額課金型は13億6700万円に対し、プリペイド型は15億3100万円(写真3)。今後も両タイプで成長を期待できるとした。

 同社はこのほか、M2M(Machine to Machine)や企業向けIP電話などの事業を強化していく方針を示している。前者はATM(現金自動預け払い機)や計測器などを携帯電話回線経由で企業につなぐもので、米国で既に実績を積み上げている。日本国内でもKDDI(au)やソフトバンクモバイルから通信設備を借り、NTTドコモの回線と組み合わせて信頼性の高いサービスを提案していく計画だ(関連記事)。

 事業の急拡大に対応すべく、「クルーシステム」と呼ぶ人材管理プログラム(制度)も2年半前に導入済み。少ない人的リソースを日単位で柔軟に割り振ることで「需要が3~10倍に伸びても問題なく対応できる体制が整った」(片山美紀常務)という。

 2014年3月期の連結業績予想は売上高が14.7%増の45億2000万円、営業利益は72.5%増の6億1800万円とした。同社内部では営業利益の必達目標として、2014年3月期に6億円超、2015年3月期に9億円超、2016年3月期に12億円超を掲げている。