写真1●フィリピンITアウトソーシングセミナーの開催メンバー
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写真2●マニュエル・ロペス駐日フィリピン大使
写真2●マニュエル・ロペス駐日フィリピン大使
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写真3●フィリピン科学技術省情報通信技術局のパトリシア・アベホ ディレクター
写真3●フィリピン科学技術省情報通信技術局のパトリシア・アベホ ディレクター
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写真4●フィリピンソフトウェア産業協会のノラ・テラド会長
写真4●フィリピンソフトウェア産業協会のノラ・テラド会長
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 フィリピン大使館やフィリピン政府科学技術省、フィリピンソフトウェア産業協会(PSIA)などは2013年5月7日、「フィリピンITアウトソーシングセミナー」を共催した(写真1)。フィリピンIT企業の強みを訴求し、日本企業からBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やオフショア開発の受託を促進する狙い。

 マニュエル・ロペス駐日フィリピン大使(写真2)をはじめ、フィリピン科学技術省情報通信技術局のパトリシア・アベホ ディレクター(写真3)やPSIAのノラ・テラド会長(写真4)などが、フィリピンIT産業の最新状況などについて講演。日本からのIT関連アウトソーシングの拡大を呼びかけた。過去5年間で最大の150人がセミナーに参加した。

 冒頭でロペス大使は、フィリピンが2012年に3.13%という低いインフレ率を維持しながら6.6%のGDP成長率を達成したことや、2013年に入って複数の格付け会社が投資適格国に格上げしたことに触れ、「フィリピン経済は歴史的な勢いで成長している」と語った。ITアウトソーシング産業の今後についても、「ITスキルが高く、英語が使える若い人材が豊富だ」(ロペス大使)と、見通しの明るさを強調した。

 続いてアベホ ディレクターは、同国のITアウトソーシング産業の規模を「2016年には2012年の2倍にする」という目標を示すと共に、「日本向けの案件をさらに増やしたい。フィリピン政府は、そのための環境を整備することを強く約束する」(アベホ ディレクター)と話した。一例として、日本との間で進めているITスキルの相互認証プログラムをさらに促進していくという。

 テラド会長は、日系企業向けのITアウトソーシング案件のうち、2012年は日本国外向けの売上高が対前年比で56%増加したことを指摘。「フィリピンを拠点に、グローバルに事業を展開する日系企業が増えている」(テラド会長)と話し、「日本にとってフィリピンは、頼れるグローバルパートナーになれるはずだ」(同)と続けた。

 セミナーの後半では、ソーシャルゲームなどを手掛けるKLabのフィリピン子会社であるKLab Cyscorpionsで社長を務める野口太郎氏が登壇し、「フィリピンを、単なるオフショア開発拠点とするのはもったいない。グローバル市場への足がかりと位置付けるべきだ」と語った。同社ではグローバル向けのアプリ開発を、米国拠点とフィリピン拠点が直接英語でやり取りしながら進める。

 PSIAの調査によると、フィリピンにおける2012年のITアウトソーシングやソフトウエア関連の輸出高は約11.6億ドル。対前年比で17%増、2009年と比べると約2倍の規模に成長している。2014年までには15億ドルにすることが目標だという。