写真1●米EMC 社長兼COO デビッド・ゴールデン氏
写真1●米EMC 社長兼COO デビッド・ゴールデン氏
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写真2●Software-Defined Storageを実現する「EMC ViPR」
写真2●Software-Defined Storageを実現する「EMC ViPR」
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写真3●Windows AzureやOpenStackからもアクセス可能に
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写真4●ワークロードの増加と多様化
写真4●ワークロードの増加と多様化
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 「ViPRは、唯一、包括的なSoftware-Defined Storageだ」。2013年5月6日(米国時間)に幕を開けた「EMC WORLD 2013」。初日の基調講演に登壇した米EMC 社長兼COOのデビッド・ゴールデン氏は、同日発表したViPRの説明に多くの時間を費やし、講演の最後でこう締めくくった(写真1)。

 ViPRは、仮想化したストレージ群を制御するためのソフトウエアで、仮想マシン上で動作する。同社が掲げるSoftware-Defined Storageのコンセプトに基づき、「ここ2年間、開発に力を注いできた製品」(ゴールデン氏)。同社やサードパーティー製のストレージを自動で管理した上で、APIなど統一的なアクセス手法でストレージを利用できるようにすることが狙いだ(写真2)。

 ViPRは「ViPR Controller」と「ViPR Data Services」の二つのコンポーネントから成る。

 ViPR Controllerはストレージを仮想化してプール化し、利用者が簡単にストレージリソースを利用できるようにする。具体的には。(1)仮想ストレージの作成(プロビジョニング)、(2)セルフサービスポータルの提供、(3)仮想ストレージの利用状況のレポートの機能を提供する。

 (1)~(3)のプロセスを自動化していることが特徴だ。例えば(1)のプロビジョニングでは、ViPRの配下に加えるストレージについてI/O性能や容量を自動で検出し、サービスカタログの作成を支援する。ストレージとしては同社の「VMAX」や「VNX」「Isilon」のほか、「NetApp」やサードパーティー製も利用可能だ。
 
 一方のViPR Data Servicesは、ストレージ群にアクセスするための統一的な手法を提供する。従来のブロックアクセスやファイルアクセスに加え、「HDFS Object StorageやAmazon S3のAPIにも対応する」(ゴールデン氏)。さらに、米マイクロソフトのクラウドサービス「Windows Azure」やオープンソースのIaaS構築ソフト「OpenStack」からのアクセスも可能にする計画だ(写真3)。ViPRは製品としては、まずViPR Controllerと、ViPR Data ServicesのうちObject Storageを2013年中に提供開始する。

 ViPRが登場してきた背景には、ストレージへのワークロードが多様化してきたことがある(写真4)。「従来のトランザクションデータなどに非構造データなどが加わり、パフォーマンスを突き詰めたりキャパシティーを重視したりと、ワークロードはまちまち。こうしたニーズに一つのストレージでは応えられず、ポートフォリオが大切になる」(ゴールデン氏)。他社製を含め様々なタイプのストレージを混在させながら、アプリケーションの要件に応じてストレージをサービスとして提供する。その仕組みを実現するのがViPRと言えるだろう。