欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2013年5月6日、米Google傘下のMotorola Mobilityが欧州競争法に違反している可能性があるとの初期判断を明らかにした。同社が、特許侵害を巡ってドイツで米Appleに対する差し止め命令を要求することは、市場における優位性を乱用した競争妨害にあたるとしている。

 ECは、Motorola Mobilityが標準策定機関との取り決めに違反して欧州市場の競争を阻害していないか確認するとして、2012年4月に正式調査を開始していた(関連記事:欧州委、標準特許をめぐりMotorolaを正式調査)。

 ECによれば、Motorola MobilityがAppleに侵害されたとする特許は、モバイル・無線通信にとって重要な業界標準の1つである欧州電気通信標準化機構(ETSI)のGPRS標準に関する標準必須特許。同標準が欧州で承認された際、Motorola Mobilityは公正で合理的かつ差別のない(FRAND:Fair, Reasonable, and Non-Discriminatory)条件のもとで提供すると公約した。しかしMotorola MobilityはAppleに対する差し止め命令をドイツの裁判所に要請し、AppleがFRAND条件にもとづいたライセンス契約に前向きであったにもかかわらず、公正な交渉を行わなかったという。

 ECは今回、Motorola Mobilityに異議告知書を送付し、「差し止め要請は、特許侵害の対策の1つではあるが、問題とされているのが標準必須特許であり、ライセンシーがFRAND条件にもとづくライセンス契約を望んでいる場合は、優位性の乱用となる可能性がある」との見解を示した。

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