「『最近日本の家電業界、メーカーは元気ないよね』と言われるが、日本は世界で一番家電の開発や販売をすることにたけた人が集まっている国。米国、韓国にも負けていない。このリソースは最強。だから僕らは日本でハードウエアを作って世界に売っていこうという会社を始めた」

 こう熱弁をふるったのは、PC不要でニコニコ生放送やUstreamなどに映像を配信できるハードウエア「LiveShell」を開発・販売するCerevoの代表取締役である岩佐琢磨氏。2013年4月27~28日、千葉市の幕張メッセで開催された動画配信サービス「ニコニコ動画」に関するイベント「ニコニコ超会議2」内で実施された「第4回ニコニコ学会βシンポジウム」でのひとこまだ。

写真1●第4回ニコニコ学会βシンポジウムの「ハードウエアベンチャー」セッション
写真1●第4回ニコニコ学会βシンポジウムの「ハードウエアベンチャー」セッション
写真左からユカイ工学 代表の青木俊介氏、チームラボ カタリストDiv.の大山宗哉氏、ビーサイズの八木啓太氏、グラモ 代表取締役の後藤功氏、Cerevo 代表取締役の岩佐琢磨氏、司会を務めた公立はこだて未来大学システム情報科学部准教授の塚田浩二氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Cerevoの岩佐氏は28日、「ハードウエアベンチャー」と銘打ったシンポジウムに、グラモ 代表取締役の後藤功氏、ビーサイズの八木啓太氏、チームラボ カタリストDiv.の大山宗哉氏、ユカイ工学 代表の青木俊介氏とともに登壇。進行は、“おしゃべり妨害装置”「スピーチジャマー」で第22回イグ・ノーベル賞を受賞した公立はこだて未来大学システム情報科学部准教授の塚田浩二氏が務めた(写真1)。

 まず塚田氏は「ハードウエアベンチャー」セッションの背景として、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械が普及し、高度なプロトタイプ(試作品)を比較的容易に作成できるようになったことなどを説明。ただ、「試作と製品の間には、(量産化、金型作成、検証、保険などをどうするかなどの)越えられない壁がある」とし、「この壁を打破した5人」に、それぞれの事業内容や、どうやって始めたか、どうやって量産にこぎつけたか、品質管理はどうするかなどの疑問点をぶつけていった。

標準化が進み、世界への販売やモジュール調達が容易に

写真2●Cerevo 代表取締役の岩佐琢磨氏
写真2●Cerevo 代表取締役の岩佐琢磨氏
同社製品は欧米4割、日本6割の販売比率だという。
[画像のクリックで拡大表示]

 冒頭の岩佐氏(写真2)が代表取締役を務めるCerevoは、社員8人の企業だが世界12カ国で製品を販売しており、同社の「LiveShell」は日本6割、欧米4割の販売比率だという。

 世界各地で販売できる理由の一つとして、岩佐氏は規格の標準化を挙げる。「日本向けに作ったものが世界でそのまま売れるくらい規格が標準化されている。Bluetooth、Wi-Fiもそうだし、スマートフォンも世界で同じようなものが売れている」。また無線LANやカメラなど各機能のモジュール化が進み、部品単位で購入できるようになったこともハードウエアベンチャーの起業を後押しする要因だという。