写真●NECの遠藤信博社長
写真●NECの遠藤信博社長
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 NECは2013年4月26日、2013年3月期の連結決算を発表した。売上高は2012年3月期比で1.1%増の3兆716億円、営業利益は同55.5%増の1146億円で増収増益となった。最終損益は1103億円の赤字から、304億円の黒字に転換した。

 好調だったのは「ITソリューション」セグメントだ。国内製造業や流通・サービス業向けのITサービスが増収となり、同セグメントの売上高は前の期比4.8%増の1兆2458億円、同213億円増となる661億円の営業利益を計上。NEC全体の収益を押し上げた。

 スマートフォンの普及などで、携帯電話会社が設備投資を積極化したことから、「キャリアネットワーク」セグメントも堅調だった。売上高は前の期比7.5%増の6477億円で、営業利益は631億円(同125億円増)となった。 

 一方で振るわなかったのが携帯電話事業だ。NECは2013年3月期に430万台の出荷を計画していたが、実際には290万台にとどまった。

 結果、100億円の黒字を見込んでいた「パーソナルソリューション」セグメントの営業損益は、37億円の赤字になった。2014年3月期は、約300万台の出荷を見込んでいる。記者会見した遠藤信博社長(写真)は「部材の購買力などを考えると、端末事業では海外事業者とのパートナーシップを検討する必要がある」と述べた。

 NECは今後3年間の中期経営計画も発表した。社会インフラ関連事業の強化とアジア市場開拓の二つを、成長エンジンと位置づけた。

 最終年度となる2016年3月期に連結売上高3兆2000億円、連結営業利益で1500億円を実現することを目指す。遠藤社長は「売上高営業利益率5%、海外売上比率25%という目標を早期に達成したい」と強調した。

 2014年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.3%減の3兆円、営業利益が同12.8%減の1000億円になる見通し。携帯電話販売を手掛ける子会社NECモバイリングの株式を丸紅子会社に売却することで、同社が連結から外れることが減収要因となる。「非連結化の影響を除くと、2%の増収の見込みだ」と、川島勇CFO(最高財務責任者)は述べた。