「人、物、場所、あらゆるモノがインターネットにつながり、情報を発信し始めている。それらを1つにまとめることによって、新しい価値が生まれてくる」---。

 ガートナー ジャパンが2013年4月24日から26日に開催した「ITインフラストラクチャ&データセンター サミット 2013」の最終日、ガートナー ジャパンの池田武史ガートナー リサーチ リサーチ ディレクターが、「Connected World:あらゆるモノのインターネットが企業にもたらすインパクト」と題した基調講演に登壇。身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるという状況(Internet of Everything)が、企業に与えるインパクトについて講演した。

 池田氏はまず、過去から未来に向けてインターネットを3つの時代に分けた。初期のWWW(World Wide Web)をパソコンで閲覧する時代を「情報のインターネット」、2000年ごろから始まったSNSを使って人と人がつながり始めた時代を「情報と人のインターネット」、そして様々な人や物がネットにつながる時代を「あらゆるモノのインターネット」と名付け、「あらゆるモノのインターネット」がまさに始まりかけていると指摘した。

店で売られている電化製品自らが「私を買って」とアピール!?

写真●ガートナー ジャパンの池田武史ガートナー リサーチ リサーチ ディレクター
写真●ガートナー ジャパンの池田武史ガートナー リサーチ リサーチ ディレクター
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 では、あらゆるモノがネットにつながり、それらをまとめると何が起こるのか。池田氏は、いくつかの未来事例を紹介した。

 例えば、ネット上の情報を共有することで、医療保険の保険料を引き下げることができるのではないかと池田氏は言う。「ネット上にログを残せる体重計や健康管理機器、SNSのタイムラインに残された運動や食事の情報などをまとめて精査すると、その人が、より健康になろうとしているのか、そうではないのかが分かる。健康になろうとしている人に対しては、保険会社が保険料を引き下げるオファーができる」(池田氏)。

 また、電化製品の購入方法も変わるかもしれないと池田氏は言う。現状、電化製品を買う際には、事前に様々な情報をチェックして店舗に赴くだろう。それに対して、「未来の店舗では、製品自体が情報をアピールしてくるようになる」(池田氏)。

 例えば、「あなたの家のホームシアターデバイスがこの製品を薦めていて、この製品を追加することを望んでいます」「あなたのSNSに接続しました。あなたの友人のアバター78人が私を買うべきだと考えています」といったような情報を製品自らが提供してくるようになると、池田氏は指摘する。

 現在、ネット通販などでは、過去の購買履歴などを基にしてリコメンド商品を提示したりしている。それに対して、あらゆるモノがネットにつながると、その基となる情報が飛躍的に増え、商品リコメンドが大幅に進化するというのだ。