写真●ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 ガートナー フェローのスティーブ・プレンティス氏
写真●ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 ガートナー フェローのスティーブ・プレンティス氏
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 透明人間やサイボーグがオフィスワーカーとして活躍する時代に---。2013年4月26日、ガートナー ジャパン主催の「ITインフラストラクチャ&データセンターサミット 2013」に登壇した、ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 ガートナー フェローのスティーブ・プレンティス氏は、ITなどを駆使した人間の身体機能の強化とそれが生み出す機会と課題について講演した。

 外科手術やインプラント(埋め込み)、外部から脳への直接刺激などの手段によって、人間が従来の身体能力を大幅に上回る機能を身に付けられる可能性を示唆した。透視や読心術、飛行などを実現する技術が実用化に近づき、「数年で(マントのようなツールを使うなどして)透明人間になれる技術も入手可能になる」(プレンティス氏)とした。

 感覚を強化するIT機器を身に付けたり埋め込んだりすることで、「顧客の顔を見るだけで購買意欲を読み取ったり、過去の折衝履歴を全て正確に記憶したりできるようになる」(プレンティス氏)。こうした機能拡張は、営業や顧客管理などの仕事のあり方を大きく変える可能性もある。プレンティス氏によると、2022年までに従業員と顧客の10%がデジタル強化されることが考えられるという。

 プレンティス氏は、これらは、スマートフォンなど自前のITデバイスを仕事に活用するBYOD(私物デバイス活用)の延長線上にあるものだとも指摘した。また企業にとっては、従業員の機能強化をめぐり、法的、倫理的な課題があるとした。3年以内には、自らを“アップグレード”することを選んだ人を雇用するかどうか、法的、倫理的なジレンマに立ち向かう用意をする必要が生じるだろうと訴える。

 こうした予想をするプレンティス氏に対して、企業のCIO(最高情報責任者)の反応は実に様々だという。ただし、「現時点で優先順位の高い課題とは言えない」としながらも、「先進企業は既にこうした技術をビジネスに生かすことを検討している。絵空事ではなく現実としてとらえ、技術の情報をウォッチするなどの準備をすべき段階にきている」と締めくくった。