総務省の「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」は、2013年4月25日に第3回会合を開催した。この検討会では、災害発生時の情報伝達手段に欠かせないメディアとして主にラジオ放送を取り上げ、放送ネットワークの強靭化に関連する検討を進めている。

 この日の会議では、ラジオ放送事業者を対象に行ったFM方式中継局新設意向などの調査結果が報告された。それによると、AM・短波事業者49社のうち、39社が災害対策・難聴対策の意向ありと回答し、そのうち38社がFM方式の中継局新設意向ありと回答した。意向なしは10社だった。FM事業者の52社のうち、27社が災害対策・難聴取対策の意向ありと回答し、そのうち19社がFM方式の中継局新設意向ありと回答した。意向なしは25社だった。なお、NHKはAM1社、FM1社としてカウントしている。

 現在は、中継局の整備などについてより詳細な意向を把握するため、第2回の調査を4月17日~5月8日の予定で実施していることが事務局より報告された。

 この日の会合では、冒頭、新藤義孝総務大臣が挨拶を述べた。この中で、自由民主党の国土強靭化総合調査会や国土強靱化担当大臣のもとに設置した「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」などの動きを紹介し、「ぜひ、この検討会の議論を反映させたい」と述べた。

 検討会の最後には、「これまでの議論の整理(案)」とする1枚の紙が急遽会場に配られた。大臣が述べた懇談会などにこの検討会の考えを適切に反映させるためためのものという。「放送ネットワークの強靭化」「経営基盤の強靭化」「これらの施策推進に向けた自治体との連携」の大きく三つの柱からなるもので、案は了承された。

 放送ネットワークの強靭化の関連では、(1)災害対策や難聴取対策として、周波数状況などを踏まえ、送信ネットワークの強靭化を推進、とした。「例えば、現在はAMラジオについて外国波混信対策に限定されているFM波利用の範囲を拡充することが考えられる。なお、AM局を廃止することは国際権益確保の観点から慎重な検討が必要」などとした。

 さらに、(2)地域密着型情報ネットワークの構築推進を挙げた。たとえば、「コミュニティFM局の一層の普及に向けた周波数逼迫地域における新たな周波数の確保や臨時災害局の円滑な開設の確保が考えられる」という。

 経営基盤の強靭化では、「事業者の主体的な取り組みの後押し」を挙げた。分社化、持株会社化、統合などについて、産活法に基づく登録免許税の軽減措置などがあるとし、例えば認定基準である事業別分野指針を放送分野でも策定することが考えられるとする。

 自治体との連携では、平時か災害時かを問わず、自治体による県域ラジオの活用促進や、自治体と県域ラジオ事業者との災害放送の協定への費用負担条項の盛り込みなどが考えられるとした。