写真1●NTTコミュニケーションズの「東京第6データセンター」
写真1●NTTコミュニケーションズの「東京第6データセンター」
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写真2●非常用発電機とUPSが一体化したロータリーUPS
写真2●非常用発電機とUPSが一体化したロータリーUPS
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 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2013年4月23日、東京都北区で「東京第6データセンター」(東京第6DC)の提供を始めたと発表した(写真1)。総延床面積は都内で最大規模の約2万2000平米で、約3000ラックを収容できるという。最新技術を駆使することで、耐災害性や信頼性の確保とコスト低廉化の両立を実現した。

 まず耐災害性の面では、地盤の強度を示すN値が60以上の場所を確保。サーバーを収容する建物には、「積層ゴム支承」「鉛プラグ入り積層ゴム支承」「直動転がり支承」「オイルダンパー」といった仕組みを併用して建物への衝撃を最大80%低減できるようにした。東日本大震災規模の地震でも問題ないほか、万一の津波や洪水などに対しても建物への浸水を防ぐための対策を施してある。通信ルートに至っては、NTT東日本のとう道に直結(管路に比べて破損の可能性が低い)するという念の入れようだ。

 データセンターの生命線と言える電源設備には、非常用発電機とUPS(無停電電源装置)が一体化したロータリーUPSを「日本で初めて」(同社)導入した(写真2)。同装置では、重さ7トンのフライホイール(弾み車)が常時、回転エネルギーを蓄積。停電時も回転を続けて発電する一方で、ディーゼルエンジンを起動して非常用発電装置に切り替える。通常のUPSに比べて設置面積が狭く、鉛酸バッテリーが不要で環境にやさしいメリットがあるとする。

 サーバールームへの電源供給能力も高め、ブレードサーバーをはじめとした高密度機器を収容しやすくした。ラック当たりの電力使用量は2k~6kVAとしているケースが多いが、東京第6DCではラック当たり9kVAに拡大し、収容率は従来比1.5倍に向上した(搭載重量も1.5倍に拡大)。価格も大口割引適用時で最大20~30%低減しており、「ユーザーは運用コストを最大で2分の1程度に削減できる」(クラウドサービス部データセンターサービス部門の瀬尾浩史主査)。

 空調には水冷方式のほか、外気冷房システムも取り入れて消費電力を抑えた。「都内でも年間60%程度は外気を使える」(同)としており、データセンターにおける電力消費の効率性指標であるPUEは1.2を実現した。

 NTTコムは、全世界に140拠点以上のデータセンターを構え、サーバールームの総面積は17万平米以上。今後は「Nexcenter」の新ブランドで展開し、同社クラウドサービスとともに事業拡大を目指す。