2013年4月23日、手書きメモに特化したコンピュータ「enchantMOON」(エンチャントムーン)の予約販売開始に当たり、ユビキタスエンターテインメント(UEI)が報道関係者などを対象に説明会を開催した(写真1)。
説明会で同社代表取締役社長兼CEOの清水亮氏は、まずenchantMOONの開発背景を紹介した(写真2)。具体的には、パソコンやタブレットなど各種のコンピュータが手元にあるにもかかわらず、コンピュータの入力しやすさや表現力が限られているために手書きのメモやホワイトボードを使うケースが多いことを紹介しながら、「人間の思考のための道具になる、これまでとは違うコンピュータを作りたかった」というものである。
続いて、「(現行のタブレットで採用される)指先による入力では不十分だ」というスタイラス(ペン型のポインティングデバイス)との組み合わせへのこだわり、プランナーの思考支援のためのソフトウエア「Zeptopad」やプログラミング言語「enchant.js」など過去の製品との関連、「ロゴがない」「撮影が不自然にならないカメラ位置」など端末のデザインに関する工夫などを紹介。さらに、表現したい人が思考を妨げずに、専門知識のない人でもハイパーテキストの記述やプログラミングを可能にしたことを強調した。
実機を使ったビデオ上映では、電源の投入から時刻合わせやユーザーID、暗証番号の入力といった一連のセットアップや主な機能を紹介した。enchantMOONの用途としては、議事録やデジタル教育の教材、契約書の入力作業の代替などがあるとした。
最後に清水氏は、コンピュータの歴史を振り返りつつ、ソフトウエアを進化させるには新しいコンピュータが必要だという認識を示したうえで、「ソフトウエアに対して本当に真剣な人は、独自のハードウエアを作るべきだ」というアラン・ケイ氏の言葉を引用して、新端末に対する意気込みを示した。
発表会には、設計段階から開発にかかわった映画監督の樋口真嗣氏と哲学者/思想家の東浩紀氏、製品の外観デザインを担当したイラストレーターの安倍吉俊氏が同席、それぞれの立場から新端末への期待や印象を語った(写真3)。