写真●米アルバネットワークスのキルティ・メルコートCTO(最高技術責任者)
写真●米アルバネットワークスのキルティ・メルコートCTO(最高技術責任者)
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 アルバネットワークスは2013年4月18日、「今後5-10年のモビリティネットワークのあり方とBYODの本質」と題したラウンドテーブルを開催した。日本法人の松本 洋一取締役社長のあいさつに続いて、米国本社のキルティ・メルコートCTOが登壇(写真)。モビリティやクラウドコンピューティング、BYOD(Bring Your Own Device)がネットワークにどのような影響を与え、ネットワークはどう変わるかを説明した。

 メルコートCTOが最初に挙げたのはVLAN。もともとVLANの使い方は、パソコン用とVoIP用が1つずつとシンプルだったが、その後プリンター用/無線LAN用/ゲスト用/契約社員用/BYOD用/検疫用など数が増えていった。ただ、米マイクロソフトの「Lync」のようにインスタントメッセージ/音声/ビデオ/デスクトップ共有など一つで複数のことができるアプリケーションが動作する端末は、この形態に合わなくなる。1台で様々なトラフィックを作り出すため、個別のトラフィックに合わせたVLANというコンセプトを適用できないためだ。

 同様のことは、さまざまな端末を探し出すBonjourのようなプロトコルにも当てはまる。探しだすには単一のVLANに含めることが前提。職場に持ち込んでプリンターやApple TVも探しだせて、かつ他の人が使うものは含めなくてよいという状態にしたければ、パーソナル化が必要になる。デバイスは持ち歩くので、“一般スタッフはスタッフ用のApple TVだけにアクセスさせる”、“移動先のコピールームで一番近いプリンターを見つけられるようにする”といった点も考慮すると、ディスカバリーはVLANではなくユーザー、ロケーション、役割に基づいた形で設定されなくてはならないという。

 ユーザーは様々なデバイスとアプリケーションを使う。そこではVLANではなく「パーソナルLAN」が必要になるとメルコートCTOは指摘する。これは特定のユーザーと、そのユーザーが使うデバイスおよびアプリケーションのためのLANを作るという考え方だ。また同CTOは、ネットワークのアーキテクチャは現在の「固定、VLANベース、ハードウエアスイッチを中心としたレイヤー2/3ベース、独自技術を用いたもの」から「モバイル、パーソナルLANベース、ソフトウエア定義型のレイヤー4~7ベース、オープンアーキテクチャーのもの」になっていくと指摘した。

 今後のアーキテクチャを構成する同社の製品で使われている技術についても説明した。その中の一つである「AppRF」は、ディープ・パケット・インスペクションを実施してアプリケーションを識別し、その情報を使ってRFレイヤーをコントロールする。しかしアプリケーションの通信が暗号化されていると、識別が困難になる。そこで例えばLyncの場合は、Lyncサーバーと統合してやり取りすることで、ビデオや音声であることが判るようにしている。