写真1●日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一氏
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写真2●日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドプラットフォーム製品部 ディレクター 吉川顕太郎氏
写真2●日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドプラットフォーム製品部 ディレクター 吉川顕太郎氏
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 日本マイクロソフトは2013年4月17日、同社の提供するクラウドサービス「Microsoft Windows Azure」に、IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を追加すると発表した。既に4月16日午後10時から利用可能になっているという。

 日本マイクロソフト 業務執行役員 最高技術責任者の加治佐俊一氏(写真1)は、「マイクロソフトでは、Windows AzureをこれまでPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)として展開するほか、ソフトウエアレイヤーでは『Office 365』を提供している。今回のIaaSの提供により、フルスタックでクラウドサービスを展開することになる」と述べ、ユーザーのクラウド活用のシナリオが広がるとした。

 IaaSでは、「Windows Azure仮想マシン」や「Windows Azure仮想ネットワーク」などのサービスが提供される。Windows Azure仮想マシンは、仮想化されたサーバーOSを実行する機能で、Windows ServerとLinuxをサポートする。「Microsoft Hyper-V」がベースとなっており、オンプレミスのHyper-Vで動作する仮想マシンのディスクイメージをAzureに転送して実行することも可能だ。

 Windows Azure仮想ネットワークは、Azure上でVPNを提供し、イントラネットとAzureを安全に接続する。DNSや仮想マシンのIPアドレス範囲の構成などネットワーク接続を制御しながらイントラネットをクラウドに拡張できるため、Windows Azure仮想マシンを利用したサーバーの増強や、オンプレミスとクラウドのハイブリッドソリューションが構築できる。

 日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドプラットフォーム製品部 ディレクターの吉川顕太郎氏(写真2)は、IaaS、PaaSそれぞれのメリットについて、「IaaSは、オンプレミスの既存システムをブラウザー環境に移行させたい顧客の要望にフィットしたソリューションで、構成の柔軟性が高まる。一方、PaaSには運用管理をマイクロソフトに任せ、開発に注力できるというメリットがある」と説明、「この2つの世界を混在できるのがAzureの一番の特徴で、競合が追随できない点だ」と主張する。

 また、「コンピュータ、ストレージなどのコモデティや、価格など差別化できない部分は競合と同じにしつつ、上位サービスやアプリケーションで価値を提供することが差別化につながる」と吉川氏は述べる。「SQL ServerやAzure上のほかのサービスとの連携が、ユーザーのやりたいことと合致するかどうかが選択のポイントとなるだろう」としている。

 価格については、同日よりWindows Azureの利用料金の一部が値下げとなっている。例えば、Linuxインスタンスが1時間4.99円(約25%の値下げ)となったほか、PaaSが1時間6.65円(約33%の値下げ)となった。

 日本マイクロソフトでは、IaaSの提供開始と同時に国内パートナー企業との連携を強化することも表明した。同日よりMSDNサブスクリプションの購読者とマイクロソフトパートナーネットワークに加盟するパートナー企業に対し、Windows Azureの無償利用枠を拡大した。

 現時点でWindows Azure仮想マシンおよび仮想ネットワークへの対応を表明しているパートナー企業は45社。加治佐氏は「パートナーとの連携はマイクロソフトのコア部分だ」としている。