写真●日本IBM、専務執行役員システム製品担当の三瓶雅夫氏
写真●日本IBM、専務執行役員システム製品担当の三瓶雅夫氏
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 日本IBMは2013年4月15日、ソフトウエア製品の仮想アプライアンス化を支援する設備「IBM仮想アプライアンス・センター」を同日付けで開設したと発表した。自社製品を仮想アプライアンス化したいソフトウエアベンダーなどに向けて、仮想アプライアンスの作成環境や技術支援を無償で提供する。設備の利用者は、サーバー環境を自前で用意することなく、単一の操作方法でVMware/KVM/PowerVMのそれぞれの仮想環境向けに仮想アプライアンスを作れるようになる。

 同設備を利用すると、PowerVM/KVM/VMwareの三つの環境に向けて、標準形式(OVAファイル)の仮想アプライアンスを簡単に作成できるという。このためのツールとして、日本IBMが2012年末に無償でダウンロード公開したGUIベースのOVA作成ソフト「ICCTツール」を利用する。今回の設備は、ICCTツールを使って実際にOVAを作成するために必要になるサーバー環境を、技術支援と合わせて新たに用意したものとなる。

 OVA作成ソフトとしてのICCTツールの特徴は二つある。(1)一つは、OVAを作る手順として、あらかじめOSやソフトウエアをインストール/設定しておくことなく、WebのGUI画面でこれらアプライアンスの機能を選ぶやり方でOVAを作れることである。(2)もう一つの特徴は、単一のツールを使って、PowerVM/KVM/VMwareの三つの仮想環境向けに、それぞれOVAを作れることである。

同様の手順でx86とPowerPC向けに仮想アプライアンスを作成

 (1)の特徴により、仮想アプライアンスのディスクイメージ(OSやソフトウエアをインストール/設定済みのイメージ)を作成してからコマンドベースでOVA形式ファイルを作るというプロセスが要らなくなった。ICCTツールでは、OSやミドルウエアなどをカタログ化しておき、WebのGUI画面の上でこれらを組み合わせるやり方でOVAを作成できる。

 (2)の特徴により、OVAの作成時に、サーバー仮想化ソフトやプラットフォームの制約を受けにくくなった。なお、OVAの作成時には、日本IBMが今回用意した設備のように、動作環境のターゲットとなる仮想環境をあらかじめ用意しておく必要がある。今回の設備を使うと、x86環境のVMwareやKVM向けにOVAを作成するやり方と同様のやり方で、PowerPC/PowerVM向けのOVAを作成できることになる。

 同設備の狙いについて日本IBMは、「PowerPC/PowerVMなどの特定の商品の販促を意図したものではなく、仮想アプライアンスの普及を狙ったもの」と説明する(写真)。仮想サーバー(VM)のデプロイ/プロビジョニングだけでなく、VM上にOSやアプリケーションをインストール/設定して丸ごと固めた仮想アプライアンスをカタログ化して動的にプロビジョニングすれば、仮想環境の利便性や保守性が向上するというシナリオである。日本IBMでは、同社Webサイト内に、仮想アプライアンスを選んで購入できる紹介ページも用意するという。

 IBM仮想アプライアンス・センターの場所は、日本IBMの晴海事業所(東京都中央区晴海1-8-10、晴海アイランドトリトンスクエア、オフィスタワーX棟3F)である。開館時間は、月曜日から金曜日の9時30分から17時。