写真●ショットノートを開発した、遠藤慎開発本部商品開発部開発四課リーダー
写真●ショットノートを開発した、遠藤慎開発本部商品開発部開発四課リーダー
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 キングジムは累計販売が200万冊を超えた大ヒットのスマートフォン連携ノート「ショットノート」のライセンス供与先を拡大していく。2013年4月10日には、住友スリーエムに対し、ショットノートの商標やノートをスマホで認識するためのマーカーに関するライセンスを供与したと発表したばかり。供与先はこれで6社になった。

 これまでキングジムは、ライセンス供与ビジネスの経験がそれほど多くなかった。そこで今後は社内体制を整えて、「ショットノートをノートの電子化のインフラに育てていく。認識マーカーを広く普及させていきたい」と、ショットノートの生みの親である遠藤慎開発本部商品開発部開発四課リーダーは語る(写真)。

 キングジムは自社の販路やリソースではアプローチが難しい顧客や地域に向けて、今後は積極的にショットノートのライセンスを供与していきたい考え。こうして、日本初の新しい文具として、海外展開にも力を入れていく。

 ライセンスで引き合いが多いのは、企業が顧客向けに配布するノベルティーグッズにショットノートを使いたいというものだ。住友スリーエムもショットノートの認識マーカーを配した「ポスト・イット手帳道具」の法人向けノベルティーとして提供していく。同じように「ノベルティー作成の話を時々いただくようになってきた」(遠藤リーダー)。

 もう1つ、今後の展開が考えられるのは、書籍やアンケート用紙との連携だという。書籍の該当ページにショットノートの認識マーカーを付け、そのページに限ってはスマホで電子化して取り込み、みんなで共有できるようにする。こうすることで友人に本を勧めたり、書籍中の図だけはスマホに取り込んで持ち歩けるといった使い方を提案する。「電子書籍の新たな形態になり得るかもしれない」と遠藤リーダーは期待する。

 企業が行っている様々なアンケートに認識マーカーを付けて、回答後にはスマホで取り込んでもらい、電子的に回収するといった利用場面も想定される。

 ショットノートは、キングジムが2011年2月に発売した「検索できるノート」。専用アプリ「SHOT NOTE」でノートの四隅にある認識マーカーを読み取り、手書きメモをきれいな形で電子的に保存できるのが最大の特徴だ。EvernoteやDropbox、Twitterにも対応している。キングジムはスマホと紙のノートを連携させることから、ショットノートを「デジアナ文具」と名付けて売り出しており、ライセンス供与でショットノート商品群の世界的な拡充を目指す。