総務省は2013年4月12日、2.5GHz帯を利用するBWA(広帯域無線アクセスシステム)の高度化のために、2625MHz~2650MHzの30MHz幅の周波数を新たに割り当てる方針(開設指針)案と、開設指針を定める告示案を公表した。開設指針案と告示案に対する意見募集を、4月13日から5月13日までの1カ月間、実施する。

 開設指針案を見ると、今回の周波数割り当ては全国エリアの事業者を対象とし、BWAを運用する事業者が対象となる。また割り当てを申請する事業者の条件として、携帯電話事業者ではないこと、また携帯電話事業者が1/3以上を出資していないこと、となっている。

全国エリアを対象とするTDDシステムが割り当ての対象

 総務省が今回の開設指針案の公表に先立って2012年10月に実施した利用希望調査では、既存のBWA事業者であるUQコミュニケーションズ、Wireless City Planning(WCP)に加えて、NTTドコモや地域WiMAXを手がけるケーブルテレビ各社も今回の対象周波数の割り当てを希望していた(関連記事)。しかし、上記の条件により、NTTドコモと地域WiMAX事業者は割り当て対象とはならないことになる。

 移動通信課は割り当て方針案について「BWAの利用状況を見ると、移動通信システムに比べても安価で高速なデータ通信専用サービスとして市場が広がっている。このため今回は全国エリアでありかつBWA(TDD方式)への追加割り当てを対象とした。例えば地域WiMAX事業者が連携して全国エリアを対象とした申請を行えば対象となる。またNTTドコモによる出資比率が1/3以下で、TDD方式で参入を希望する新規事業者が申請する場合も対象となる」と説明する。

 開設指針案では、まず申請者が備えるべき条件(絶対審査基準)を定め、2社以上の希望があった場合には申請内容の比較審査を行うとしている。絶対審査基準としては、2017年度末までに全国の総合通信局管内で人口カバー率50%以上、2015年度末までに150Mbps以上の通信速度を実現する高度BWA基地局の運用を開始すること、MVNOや卸電気通信役務による免許を持たない他社への利用促進の計画を持っていること、――などを挙げている。この中に、携帯電話事業者との資本関係についても規定している。

UQ、WCPの両社が10MHz幅を申請するケースも想定

 2社以上の希望があった場合の審査基準は、2017年度末時点の人口カバー率がより大きいことを第1基準とし、第2基準として高速化した地域のエリアがより広いかどうか、屋内エリアカバーの計画や、既存事業者の場合は割り当て済み周波数を有効活用しているかどうかなどを評価(配点)し、上位の事業者を認定する。第2基準でも差が付かない場合、新規事業者が上位となり、既存事業者間の間では割り当てを希望する周波数幅が小さい方を上位とする。

 これを見ると、ほとんどのケースで1社のみを選ぶ条件となっている。ただし2社に割り当てるパターンもあり、具体的には既存事業者であるUQとWCPしか開設計画を申請せず、かつ両社とも希望する帯域幅が10MHzであり、UQの開設計画が優位であった場合に、両社に10MHz幅ずつ割り当てることを想定した条件が設定されている。

 総務省は意見募集の結果を踏まえて、速やかに電監審への諮問、開設計画の募集のなどの手続きを進める。ただし、割り当て時期については未定としている。
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