ニューシステムテクノロジー(NST)は2013年4月11日、ベクトル処理によってデータ分析を高速化したDWH(データウエアハウス)向けRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)の新版「Vectorwise 3.0」を発表、同日出荷した。新版では、基本性能を高めたほか、Apache Hadoopで集計したデータをロードするためのユーティリティープログラム(コネクター)を添付した。開発会社は、米Actian(旧Ingres)。

 転送しなくてよいデータを転送しないポリシーや、アクセス時間がかかる記憶媒体からのデータ転送を避けるポリシーによって、高速にデータを分析できるようにしたRDBMSである。製品名の通り、最大の特徴は、複数データに対する処理を一つの命令で実行するベクトル演算処理にある。CPU命令に近い下層の命令セットを利用するほか、CPU内部でデータをベクトル処理するとしている。ベクトル処理に当たっては、メインメモリーの代わりにCPUのキャッシュを活用するように設計している。

 データをカラム(列)単位で格納する、いわゆるカラム型データベースであり、読み込む必要がないカラムをストレージから読み込まなくて済むようにしている。データは、常時圧縮して転送量を削減している。この際、個々のカラムのデータタイプに応じて、効率のよい圧縮方法を自動的に選択する。また、記憶領域をインデックス化してインデックスを自動更新することで、データが格納されている記憶領域に効率よくアクセスできるようにしている。

 新版では、基本性能を高めたほか、Vectorwiseにロードするデータ量を削減するためのプリプロセスとしてデータ集計ソフトのApache Hadoopを活用しやすいように、専用のユーティリティプログラムを添付した。同プログラムを使うと、別途ETLツールなどを用意することなく、指定した条件でApache Hadoopにデータを集計させ、集計後のデータをVectorwiseにロードできるとしている。

 Vectorwiseの価格(税別)は、CPUコア単位ライセンスの場合はコア当たり240万円、データ容量ライセンスの場合は1Tバイト当たり1480万円。