アメリカ自由人権協会(ACLU)は現地時間2013年4月10日、米内国歳入庁(IRS)が捜査令状なく消費者の電子メールを閲覧しているとする抗議の声明を発表した。

 ACLUは昨年、情報自由法(FOIA:Freedom of Information Act)に基づいてIRSに情報開示を請求し、247ページにおよぶ文書を入手した。同文書には、IRSの税法違反関連の捜査におけるポリシーや慣習についての記録が含まれる。

 ACLUの目的は、IRSが電子メールなどの個人的な電子的通信内容を捜査する際に、必ず裁判所の許可を得ているか確認することだった。

 たびたび「時代遅れ」と批判される電気通信プライバシー法(ECPA:Electronic Communications Privacy Act)では、180日以内の電子メールの閲覧には捜査令状が必要だが、180日経過した電子メールおよび公開済みの電子メールには令状は不要としている。一方、米連邦憲法修正第4では、裁判所の許可なしに秘密裏に電子メールデータを押収・捜索してはならないとしている。当局が電子メールに密かにアクセスしていたことは違法だとしてSteven Warshak氏が訴えを起こしたWarshak裁判では、2010年の判決で憲法修正第4が適用された。

 ACLUによれば、Warshak裁判の判決以前に、IRSが令状なしで電子メールを閲覧していたことは同文書から明らかだという。なお判決以降についてはIRSは明確な回答を示していない。ACLUは「回答しないこということは、令状をとっていないことを暗示している」と指摘。憲法修正第4に従って事前に令状を取っているか明確に答えるよう求め、もし従っていなければポリシーを変更すべきだと述べている。

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