写真1●中継回線を介して会話する米オラクルのラリー・エリソンCEO(写真左)とソフトバンクの孫正義社長(写真右)
写真1●中継回線を介して会話する米オラクルのラリー・エリソンCEO(写真左)とソフトバンクの孫正義社長(写真右)
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写真2●月1.9億件にも及ぶアプリの通信ログを分析して基地局の敷設や最適化に活用
写真2●月1.9億件にも及ぶアプリの通信ログを分析して基地局の敷設や最適化に活用
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写真3●行動ターゲティングの活用例。ソフトバンクテレコムとヤフーが協業して「ウルトラ集客」の名称でO2O(Online to Offline)サービスを展開中
写真3●行動ターゲティングの活用例。ソフトバンクテレコムとヤフーが協業して「ウルトラ集客」の名称でO2O(Online to Offline)サービスを展開中
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 日本オラクルが2013年4月9日に開催したプライベート・イベント「Oracle CloudWorld Tokyo」(関連記事)の基調講演には、特別ゲストとしてソフトバンクの孫正義社長(写真1)も登壇し、同社におけるビッグデータの活用事例などを紹介した。

 孫社長は、まず2010年6月に打ち出した「新30年ビジョン」で「クラウドを人類最大の資産にしたい」とのスローガンを掲げたことを紹介。「超高速のネットワークと無限大のクラウドにより、人々のライフスタイルが大きく変わっていく」との展望を示した。

 カギを握るのはライフログ。「人々が使っているデータは今後10年間で30倍に増えると言われており、(ソフトバンクモバイルにおける)トラフィックも(2008年4月を基準にすると)5年で約60倍に増えた。我々はこのビッグデータから宝を見つけるために様々な科学的な検証に取り組んでいる。約1000社のグループ企業のビッグデータを活用して様々なサービスを展開していきたい」(孫社長)とした。

 その一部として、(1)電波改善、(2)ツイート解析、(3)行動ターゲティングの3つの取り組みを紹介した。まず(1)は、パケット接続率を高めるため、月1.9億件にも及ぶアプリの通信ログを分析しているという。30分間隔または在圏移動時に端末から位置情報を送信しており、圏外または10秒の通信不可で「接続NG」と判断(写真2)。さらにクレーム情報や基地局情報、建物情報など300億件のレコードを分析しており、基地局の敷設や最適化に活用しているという。

 次に(2)のツイート解析では、同社関連のあらゆるツイートについて「ポジティブ」「ネガティブ」を分析しており、顧客満足度の向上に役立てている。「ポジティブが5割を超えているかどうかを毎日確認している」(孫社長)とする。

 (3)の行動ターゲティングは、Yahoo! Japanの月500億ページビューの行動履歴の活用事例を説明した。ログとしては性別や年代をはじめ、検索や閲覧、広告表示の履歴、アクセスエリア、端末種類などを蓄積しており、ユーザー特性に応じた広告配信を展開できるようになっているとする。

 例えばソフトバンクモバイルはこの仕組みを使い、NTTドコモやKDDI(au)のユーザーだけにピンポイントでキャンペーンの広告を表示する「スマホMNPキャンペーン」などを展開中(写真3)。「我々が5年連続で純増No.1を獲得(年度の場合は3年連続)できたのは、偶然ではなく頭を使っているから。少ない予算で最大限の効果を得られるように常に知恵を働かせている」(同)とした。

 このほか、孫社長は、米オラクルのラリー・エリソンCEOの仲介をきっかけに、米アップルのスティーブ・ジョブズ氏との親交が深まったとのエピソードも披露した。「ラリーが自宅に私とスティーブを招き、その後、私が自宅にスティーブを招いた。スティーブがアップルに復帰して間もない一番苦しいときに共通の友人として紹介され、3人で(エリソンCEOの自宅にある1000~2000本の)桜の木を一緒に眺めた」という。