写真●カスミの小浜裕正会長(右)とループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長(左)
写真●カスミの小浜裕正会長(右)とループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長(左)
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 スーパーマーケットのカスミがソーシャルシフトへ──。2013年4月9日に都内で開催されたイベント「Oracle CloudWorld Tokyo」で、茨城県を地盤とするスーパー、カスミの小浜裕正会長が特別講演し、2012年に同社が始めた「ソーシャルシフト」について語った。

 小浜会長は、書籍『ソーシャルシフト』の著者であるループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長と共に登壇(写真)。「このままでは当社は、これからのソーシャルシフトの時代に生き残れるかどうか分からない。(引退する前に)何とか礎を作りたい」と語り、自ら斉藤社長にコンタクトを取って一人で会いに行き、ソーシャルシフトに動き出したことを明かした(関連記事:ソーシャルシフト)。

 具体的には、ソーシャルシフトに取り組みたい店舗を全147店の中から公募で10店集め、2013年3月に「ソーシャルシフトモデル店舗」に指定。それらの店舗は会社の販売組織上のラインから外し、各店が自律的に地元の消費者と向き合って店作りをする実験を始めた。

 小浜会長は「これまでの組織体制から離れた開放的な店舗運営から生まれる、新しい発想に期待している」と語った。成果が出るまでには4~5年かかることも覚悟して、消費者と向き合う覚悟を決めた。

 モデル店を支援するための11人から成る専門チーム「ソーシャルシフト・コミッティ」も組織したほか、若手を中心とした20人でカスミの経営哲学を考える「未来委員会」も同時に活動を開始した。

 ループスの斉藤社長の指導を受けながら、カスミが地元の消費者とのコミュニケーションにソーシャルメディアを使うのは「消費者の本音が出やすいから。隠れた声を聞くことができる」(小浜会長)。Facebookの「カスミFanページ」も用意し、既に3400人を超えるファンを集めた。