写真1●co-IZmo(コイズモ)の外観
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写真2●co-IZmo(コイズモ)の空調システム
写真2●co-IZmo(コイズモ)の空調システム
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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2013年4月8日、コンテナ型データセンターの新モデルとして、1年間を通して外気冷却だけで運用できるようにした小型モデル「co-IZmo(コイズモ)」(写真)を発表した。コンテナ当たりの電力効率は、現行の中型モデル「IZmo」よりも高いPUE 1.0台になるとIIJは予測する。2013年4月上旬から1年間、商用化に向けた実証実験を開始する。販売方法は未定だが、小型であることを生かし、現行モデルでは提供していないコンテナ自体の販売なども検討する。

 前提となるコンテナ型データセンターとは、貨物のコンテナに似た収納容器を利用したデータセンター設備である。サーバーラック群やファシリティー設備などを収容して使う。特徴は、サーバーを搭載したまま移動/運搬できるなど、組み立てや設置が容易なこと。必要に応じてコンテナ単位で拡張できる。ビジネスモデルとしては、コンテナ自体の販売のほか、設置済みのコンテナやサーバー設備を貸し出すサービスなどがある。IIJほか各社が開発している。

 IIJは2011年4月に、初代のコンテナ型データセンター「IZmo」をサーバー機とともに貸し出す「IIJ GIOプライベートHaaS(Hardware as a Service)」を、IZmoのために用意したデータセンター地所「松江データセンターパーク」で開始している(関連記事:IIJが松江市に外気冷却コンテナ型データセンター開設、プライベートHaaSも開始)。IZmoは9ラックを収容する中規模コンテナだが、今回、IZmoよりも小規模な3ラックを収容する新たなコンテナとして、省電力能力を高めたco-IZmoを開発した形である。

 モジュール当たりのPUEは、IZmoの1.17(年間平均実測値)に対してco-IZmoでは1.0台になるとIIJは予測する。根拠は、空調/冷却の仕組みにある。既存のIZmoの場合、IZmoと空調モジュールをダクトで連結し、冷却用に室外機を利用する。外気冷却を基本としながらも、夏季は冷媒を用いた冷房を、冬期は加湿器を利用する。これに対して新モデルのco-IZmoでは、空調設備をコンテナ内に内蔵し、外気だけで冷却する。

 なお、co-IZmoは空調モジュールを一体型とした小型のコンテナであるため、IZmoよりもコンテナの移動と設置が容易になる。co-IZmoの販売方法は現時点では未定だが、可搬性の高さを生かして、IZmoでは提供していないコンテナ単体での販売(ユーザー企業側にコンテナを設置)も視野に入る。

co-IZmoの主な仕様(IZmoとの比較)
モデルIZmoco-IZmo
コンテナの構造空調モジュールが独立空調モジュールと一体型
コンテナのサイズ仕様独自規格 ISO20ftコンテナ
コンテナの大きさ4×20メートル
(80平方メートル)
8×3メートル
(24平方メートル)
収容ラック数9ラック3ラック
冷却能力90kW(外気および室外機)30kW(外気)
ファン風量最大2万7000立方メートル毎時最大9000立方メートル毎時