図1●LOD活用基盤の概要
図1●LOD活用基盤の概要
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図2●直観的操作が可能なUIを実現する「座標変換技術」
図2●直観的操作が可能なUIを実現する「座標変換技術」
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図3●直観的操作が可能なUIを実現する「認識安定化技術」
図3●直観的操作が可能なUIを実現する「認識安定化技術」
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図4●直観的操作が可能なUIを実現する「高精度・高速認識技術」
図4●直観的操作が可能なUIを実現する「高精度・高速認識技術」
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 富士通研究所は2013年4月3日、研究開発戦略説明会を開催、2012年度の成果として2つの技術を発表した。

 1つが、アイルランド国立大学ゴールウエイ校の研究機関Digital Enterprise Research Institute、Fujitsu Laboratories of Europe Limitedと共同開発した、リンクが張られた公開データ(LOD: Linked Open Data)の活用基盤(図1)。

 Linked Open Dataとは、コンピュータで処理しやすい形式でリンクされたオープンデータである。富士通研によると、現在LODは、研究機関や政府などから大量に公開されているものの、(1)欲しいデータがどこにあるか分からない、(2)複数のサイトのデータをまとめて処理するためのアプリケーション開発が必要、(3)検索機能のないサイトのデータを検索できないという問題を抱えているという。

 そこで、今回の開発では、これまで公開された数100億項目のLODを格納し、従来比5~10倍という検索アルゴリズムによって検索できるLOD活用基盤を構築した。これにより格納データを標準APIで一括検索できるようになったほか、データを可視化する検索インタフェースにより、アプリケーションに必要なデータを視覚的に探索できるようにした。

 富士通研では、同技術の活用例として、企業分析アプリケーションを紹介した。具体的には、LODとして公開されている企業情報、財務情報、株価情報などを組み合わせることにより、企業の多角的な分析が可能になるというものだ。その詳細は、4月16日からアイルランドのダブリンで開催される国際会議「XBRL 26」で発表する予定。さらに、今回開発した技術をクラウド上に実装、限定的ながら2013年中にも公開予定という。

 今回発表したもう1つの技術が、指を使うことで直観的な操作が可能なユーザーインタフェース技術。テーブルの上の書類を指でなぞって電子データとして取り込んだり、触った物にプロジェクターで情報を表示したりできる。これは、手指の位置やタッチなどの操作をカメラで高精度・高速に検出する技術を開発、プロジェクターとの組み合わせによって実現した(図2~4)。