写真1●楽天ブックスと楽天koboの事業戦略を説明する三木谷浩史会長兼社長
写真1●楽天ブックスと楽天koboの事業戦略を説明する三木谷浩史会長兼社長
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写真2●楽天パッケージメディア事業イーブックジャパン事業の舟木徹担当役員
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 「2020年に日本の電子書籍市場を年間1兆円まで伸ばし、楽天は市場シェア50%の5000億円を取りたい。それが我々の使命だ」──。楽天は2013年4月4日、都内のホテルに大手出版各社を集めて、楽天ブックスと楽天koboの事業戦略説明会を開催した。

 その席で講演した三木谷浩史会長兼社長は冒頭の構想を掲げ、出版各社に協力を求めた(写真1)。当面は2016年に電子書籍で年間500億円の流通総額の獲得を目指す。

 2012年7月に電子書籍市場に参入した楽天は、これまでのサービス展開のなかで「品ぞろえの充実以上に、売れ筋書籍の電子化が急務であることが分かった」と説明(関連記事:楽天の電子書籍端末「kobo Touch」は7980円、国内150万冊目指す)。2013年夏までに「楽天ブックスでの通常の本の売れ筋ベスト1000タイトルのうち、80%を電子化してkoboで販売できるようにしたい」(三木谷社長)と語った。開始当初はこの割合が10%に過ぎなかったが、今は50%まで来ているという。

 また、新刊本については、紙と電子書籍の同時発売を標準にしていけるように、出版各社に働きかけた。

 三木谷社長の説明に先立ち、楽天パッケージメディア事業イーブックジャパン事業の舟木徹担当役員が、楽天ブックスの概況も説明した。2012年の楽天ブックスの売上高は、約300億円。千葉県に自社物流倉庫を持って書籍在庫を増やしたことや翌日配送を広げたことで、流通量は伸びているという。

 2013年夏からは、これまで商品カテゴリーごとに分かれていた商品マスターの再構築を進め、検索機能やリコメンド機能を強化していく。ほかに2014年以降は、千葉以外にも大阪や九州などで倉庫の新設を検討している。

 楽天市場全体に目を向けると、これからはスマートフォンやタブレット端末からの買い物が増えていくのは確実。現在モバイルからの注文は全体の27%だが、「2013年末には42%まで伸び、2014年には50%を越えると見られる。将来的には70%を越えてくるだろう」と三木谷社長は話した。当然、書籍流通もその流れに乗っていくだろうとの見解を示した。